最初よりも最後の時間帯の方が強く印象に残る。急に変化すると印象に残るが、徐々にだと気付きにくい。時間がかかるほど効果があると考えてしまう。
《行動の特徴》
『ゲーム』という映画を観たことはあるだろうか。マイケル・ダグラス演じる主人公は、映画の中でずっと嫌な思いをするわけだが、最後はハッピーエンドの結末で、めでたしめでたしとなる。このような終りよければすべてよし、とつい考えてしまう傾向を「ピークエンドの法則」という。この特徴を、書籍「ダニエル・カーネマンの心理と経済を語る」に基づいて、3つの例で紹介する。
1つ目は、ピークの時間についてである。大腸内視鏡検査で、ある病院は8分かかり、もう1つの病院は22分かかる。時間が短い程辛くないと考えそうだが、結果は違う。実はこの検査には、痛みのピークがある。8分では短いけど、強い痛みを感じた瞬間に終わります。一方22分では長いけど、終わったときの痛さは和らいでいる状態である。その結果、22分の方がよいと答えた患者の方が多いという結果になった。人は最後の記憶の方が印象強く残る。なので、嫌な経験をする場合はすぐに終わらず、余韻の時間を持たせる方がよい印象を与えられる。
2つめは、サプライズ効果である。予想に反して、詩歌も本人にとっても嬉しい出来事が起こると、それまで嫌な気持ちをしていても、一瞬で忘れて幸せな気持ちに切り替わる。冒頭に紹介した映画「ゲーム」もその一例だ。サプライズ効果を最大限にするにはギャップが大事である。はじめはあまり期待させず、最後に一気に変化を変化を加えることで、それまでの気持ちをリセットさせる。反対にちょっとずつだと変化を感じない「茹でカエルの状態」になる。よい印象をあたえたいときは一気に変える、逆に、悪い印象を与えたくないときは少しずつ変えることが効果的である。
3つめは、時間と価格との関係性である。料金は同じ8000円だけど、5分で解決する腕利きの修理工Aと、60分で解決する見習の修理工Bの、スキルが異なる2人がいる。冷静に考えれば、早く修理してくれるAの方がいいはずだが、一瞬で直ると8000円は高すぎると考えBの方がじっくり丁寧にやってくれたので適正価格だと考えてしまう。ユーザーは人の努力にはお金を払いたいけど、スキルにはお金を払いたくない傾向ある。
残業の多い非効率な人の方が、評価が高いという現象が会社でよくみられるのは、このことが関係しているのかもしれない。このように、人は時間経過に対しては、最後が大事、急激な変化だと気持ちが切り替わる、時間と効果を関係付けて考える、という3点が影響する。いつ、どのタイミングで、どう切り替えるかを意識すると、同じ内容のサービスでもユーザーが感じる印象は大きく変わる。
《活用方法》
活用1.最後にご褒美を与える
IKEAは、面倒と思われがちな店舗での家具購入の体験を、時間の使い方でポジティブに変えた。ユーザーがIKEAで体験する全体の時間の8~9割はショールームの回遊だが、最後にまとめてカートに商品を乗せて気分を高めて、会計後にレジの近くで売られているアイスを食べることで、それまで長く歩いて疲れていたことも忘れてしまう。終わりを楽しい体験にするIKEAの工夫には、見習う点が多くある。
活用2.ムードを突然変える
レストランにも多くの学びがある。ケーキが運ばれるハッピーバースデーの演出はサプライズの定番だが、ポイントは、後半までは長く穏やかな時間にする、あるタイミングで電気を消す、すかさず音楽を流すなどでムードを切り替えることだ。実はIKEAのレストランでも、子ども向けのお誕生日会を行うサービスがあります。ユニフォームを着た店員さんが突然祝ってくれるのは、フラッシュモブのようなサプライズ効果があり、より嬉しく感じるはずである。
活用3.長く滞在させる
IKEAは最初にじっくりショールームの回遊に時間をかけるので、通常のお店よりも滞在時間は長くなる。ほぼ1日中の人もいる。なので、それだけ時間を費やしたのだから元を取ろうと、何も買わないわけにはいかないと商品に手を伸ばし、途中でご飯を食べたり、最後にお土産を買うなど、ユーザーになるべくお金を使ってもらうように行動をうながす。滞在時間を長くすることは、回転効率を重視する飲食店には難しいが、テーマパークやホテルなどの業種には、この考えを応用して取り入れることができるかもしれない。
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