何かに頼りたいときは不確実性と類似性が要因となる。インベーションと社会的証明は背反する。社会的証明から脱却却するには内面からの強い意志が大事。
《行動の特徴》
自信がないときは、何かに頼りたい気持ちなる。社会的証明とはそんな気持ちを後押しするものである。何かに頼りたくなる要因は2つ、不確実性と類似性がある。まず不確実性についてである。これまでの経験が通じないときは、周りの行動に影響されてしまいがちだ。例えば「新型コロナウィルスの影響であの会社が出社禁止しているから、わが社も禁止にしよう」とか、「誰も動いていないから、静観しておこう」と考えてしまう。
次に類似性についてである。誰かが先行したことに影響を受けると、自分もつい追従してしまう。例えば、流行のファッションをまねしたり、周りが笑っていると自分も楽しい気持ちになったり、怖いことに自殺の後追いが発生してしまう現象も同様だ。この2つを要約すると、社会的証明は自分よりも他者(周囲)に判断をゆだねる心理、といえる。近年は、不確実性の高い時代である。
そして「従来の枠組みにとらわれないイノベーションが必要」とも言われている。でも現実には、不確実性が高いときほど、社会的証明の心理が強くはたらいてしまう。周りの状況を気にして行動したり、コミュニティなどの集団に帰属する傾向が強まる。これはビジネス側にもユーザー側にも言えることである。イノベーションは、信念や意思あるいは創造性といった、自身の気持ちから生まれる。
エッジの立った企画を社内に通すときにやってはいけないのは、安易な数値的根拠の提示だ。市場データの裏づけやアンケート結果で「大丈夫です」と伝えるのは、社会的証明を助長するだけで、新しいことに向かう気持ちとは逆行する。社会的証明に自分自身がとらわれないよう、周囲の目はそこそこにして、内面から湧いてくる気持ちを大切にしよう。
《活用方法》
活用1.クリエーティブ・リーダーシップを取る
変革を起こすのは、いつの時代でも周囲に反対されながらも、意思をもってやり通した人達である。これを最も象徴しているのが、Appleの有名な「Think Different」のキャンペーンである。リーダーシップを取る人が、周囲の状況やデータに踊らされることなく、勇気をもって他とは違う決断をすることからイノベーションが生まれる。新しい何かをしたいのであれば、社会的証明に頼らずに、創造的なリーダーシップで推進することが大切である。
活用2.少数意見を受け入れる
テブラやポメラなどのヒット商品で知られる、事務用品・文房具メーカーのKING JIMは、ユニークな仕組みを社内に取り入れている。それは、開発会議で役員が多く反対しても、1人が「よい」といえば商品企画を進めていいルールがあることだ。多数決や話し合いでの調整で無理な結論にしないで、少数意見を取り入れている。多様性はイノベーションを生み出すきっかけになる一方で、全員の意見を取り入れてしまうとエッジの立った企画が通りにくくなる障壁にもなる。だからこそ、少数意見を尊重する文化を組織に根づかせることが重要である。
活用3.心を打つストーリーで伝える
提案した内容に対して、相手が無理な案を選ぼうとすることはよくある。これは、新しいものに対する不安の表われで、そんな人たちの気持ちを変えることは簡単ではない。このような状況を突破するときには、データの裏づけではなく一歩踏み出すための「ストーリー」で伝えることが大切である。そしてそのストーリーも、社会的証明に依存しない、クリエイティブな内容であるべきだ。GMなどを見ても、組織が大きいほど平均的で無難なストーリーを描きがちだ。1人の強い想いから生み出された映画やマンガからは、相手の心を打つストーリーが学べるので参考にしたい。
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