希少性の高いものを入手できないと不利になると考えてしまう。希少価値は希少性を広めるメディアによって認知される。希少性の関心はモノから体験にシフトしつつある。
《行動の特徴》
新型コロナウィルスのニュースが広まったとき、商品の品薄がめだった。マスクやハンドソープが店頭にないと、その商品が希少だと感じてしまう。価格が高くても買おうとするし、家にストックがあるにも関わらず買わなければと考えてしまい、正しい判断を鈍らせてしまう。希少性が引き起こした出来事は、過去にもあった。
・スニーカーブームのときのNIKE AIR MAX95
・高校生中心に流行した、たまごち
・東日本大震災のときのペットボトル飲料の品薄
希少性である状態に対して、人が非合理な判断や行動をしてしまうのには、2つの理由がある。1つは、入手困難=重要なものに違いないと考えるからだ。もう1は、入手困難=自由を失うことに反応するからである。そして、この根底にあるのは競争心理である。持たないと相手よりも不利な状態になってしまう、という不安が起こってしまう。希少性が認知されるまでには、2つの段階がある。まず、希少性であることに過剰に反応して極端な行動をする少数派が現れる。
ただ、その時点で多くの人はまだ落ち着いている。しかし、一部の過剰な行動がメディアを通じて知れわたると、多数派も本当に必要かどうかに関わらず「なくなるかもしれないから買わないと!」と思って追従してしまう。これが品薄につながり、希少性が高まる結果になる。希少性に注目が集まり流行がひろまるのは、中間層がカギである。これはバンドワゴン効果とも共通点がある。なので変な話だが、本当に希少だと誰も目もくれず、ある程度は市場に認知や浸透がされないと、希少性は効果が生まれない。
希少性の仕掛けを利用したサービスは、世の中に多く見られる。たとえば、旅行サービスの「残り〇室」や、ネットショップでの「あと在庫〇個」はネット上で多く目にする。データ活用によって、数字はほぼリアルタイムに掲示されるのは、ユーザーが検討判断をするうえでよい面もあるがいたずらに希少性をあおる悪用にもつながりかねない。21世紀になり、限定品や高額商品に対する希少性の相対価値は下がっている。その理由は、情報化社会やシェア文化が浸透してきたからである。今後はモノだけではなく、人と人の接点であったり、滅多にない機会などの体験を重視した希少性がよりと重要になる。
《活用方法》
活用1.人の存在を希少にする
多くのモノや情報があふれるようになってから、希少性の価値は人に移ってきた。人気のYouTuberやブロガーなどは希少性が高い人達だといえる。誰がその商品やサービスを使っているのかによって、人々の影響力は大きく変わる。企業からの一方的な紹介ではなく、彼ら/彼女らがいるからこそ、追従する人が増えてそのサービスは人気を集める。フォロワー数などの数字やステータスといった可視化された情報は、その人が希少な存在である指標なる。
活用2.時間を希少にする
ネットの普及によって、場所の制約がなくなった。その結果、みんなが自由に情報にアクセスできるので、時間に対する希少価値は相対的に上がってきた。例えば、期間限定のオンラインセールやライブ配信をリアルタイムで観られてコメントを贈られることなどである。時間は誰にとっても平等なので、特にデジタルサービスで時間限定のサービスを提供することは健全な方法だといえる。
活用3.リアルな接点を希少にする
一方で、多くの情報がアクセスしやすいからこそ、リアルな場での出会いや体験はより希少性を増す。講演会、店頭イベント、ライブ、アウトドア、オフ会などの市場は、デジタルが普及しても依然として人々の注目を集めている。新型コロナウィルスの影響で外出できないような状況では、より実感できることである。
活用4.リアルとデジタルを両立させる
リアルとデジタルを切り分けるのではなく、融合させることによって、希少性の価値をより高めることができる。藤井保文と尾原和啓による書籍『アフターデジタル』では、リアルとデジタルの2つの関係性を的確に説明している。ティクタッチ(デジタルの接点)は数の接点を広げる量産が得意だが、リアルタッチ(対面での接点)は深いコミュニケーションで接点の質を高めことが得意である。用途に応じて量の接点を質の接点と組み合わせること、ユーザーとの強いつながりがつくれる。
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