ナッシュ均衡とは三角関係のようなもの。実はライバルの関係でバランスは成り立っている。お互いさまの精神が長期的な関係構築につながる。
《行動の特徴》
「ナッシュ均衡」とは、抜け駆けができない状態を意味する。人の三角関係で考えてみよう。男性は2人とも1人の女性のことが好きだけど、お互い仲良しである。女性も男性2人と仲良くしていたいと思っている。なので3人の関係は良好である。だけどあるとき、1人の男性が女性に告白しようとする。他の2人にとっては望んでいないことである。女性は告白しようとする男性と距離を置こうとして、男性2人は敵対する行動をとり、足を引っ張り合い、それぞれの関係性を調整し合う。
このようにお互いのバランスを保つためには、抜け駆けしないことが一番の方法である状況を、ナッシュ均衡という。ビジネスにおいても、この考え方は当てはまる。複数社の競合サービスとユーザーの三角関係や、企業同士の間で均衡がとれている例をいくつか挙げてみる。
・高価格帯のホテル/低価格帯のホテル
・シッピングモールの和食/洋食/中華
・自動車メーカー/ディラー/中古車販売店
多くのビジネスは、相手との関係で均衡が成り立っていることがわかる。もし、ある店が値下げすると、競合店舗が値下げするために追従して値下げ合戦になる。すると、結果的にどのお店も利益率が下がってしまう。あるいは1社だけが残り、その結果ユーザーは選択肢を失ってしまい市場が停滞することになってしまう。一見、競合だと思っていた相手と協力することが、実は自分にとって便益になる、ということがナッシュ均衡の関係から気づくことができる。わかりやすい言葉でいうと「お互いさま」である。
この均衡がとれている状態は、三方よしの考え方にもつながる。三方よしとは、近江商人が大切にしていた「買い手よし」「売り手よし」「世間よし」で持続的に循環するビジネスモデルを表したものである。ビジネスを三角関係で捉えることで、ユーザーにとっても、会社にとっても、長期的によい関係が考えられる。
《活用方法》
活用1.ベン図を使う
複数の丸が重なった図をベン図という。円と円の間に重なる部分があるが、ここが「お互いさま」の領域である。ベン図を使うと、会議の中で誰かが「1つの要素を外そう」という意見が出た場合、「1つ外すと他の2つにも影響が出て全体が崩れる」という説明ができるようになる。
活用2.競合との違いに着目
3C分析というビジネス・フレームワークがある。3Cは「自社」「競合」「市場」のことである。3Cを用いると、自社と競合の共通点と住み分けの関係性を知ることができる。例えば、値下げなど価格の差別化とはどの会社にも共通する競合に後追いされるが、他社にうまみがない差別化は後追いされにくいので、競合との均衡は保たれる。共通点と相違点に着目してみよう。
活用3.相互依存を自覚する
これからの商品やサービスには、「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティブ」のバランスがとれていることが大切と言われている。もし、ビジネス(営業部門)の力が強すぎると、短期的な売り上げ目標のためにブランドイメージが損なわれることがある。テクノロジー(開発部門)の力が強すぎると、収益性の配慮が欠けがちだ。3者のバランスを保つためには、全体を見る立場の存在や、自分とは異なる相手への理解が欠かせない。
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