多数派の存在を知ると群れたくなる傾向がある。多数派の所属は安心できて、少数派の所属は不安になる。少数派の不安をあおると行動を変えやすいが、負の印象が強くなる。
《行動の特徴》
少数派は、あまり心地よくない。人は「周りはみんなAなのに、自分だけB」という状況だと、不安を感じてBから脱却する行動を取ろうとする。このような、多数派に影響を受けることを「ハーディング効果という。ハーディング(Herding)は「群れ」の意味である。木を見る西洋に対して森を見る東洋、といった思考の違いがあるように、アジア圏の人は周囲との関係性を強く意識する。加えて、空気を読む日本人は、さらにこの傾向が顕著に表れる。このことを象徴する例に、沈没船ジョークというものがある。沈没しかけている船に対して、船長は各国の人に、それぞれ伝え方を変えて海に飛び込むよう説得した。ステレオタイプであるが、国ごとの特徴をよく表している。
・アメリカ人:ヒーローになりますよ
・イギリス人:あなたは紳士です
・ドイツ人:飛び込むのはルールです
・イタリア人:飛び込めばモテますよ
・フランス人:飛び込まないでください
・日本人:みんな飛び込んでいますよ
少数派の不安心理は、行動を変えるきっかけになる。イギリスの税関庁と内閣府の行動洞察チームは、期限内に納税しない人に対して実証実験をおこなった。その内容は督促状を送る際に一番効果があるメッセージは何か調べたものである。言葉の違う5種類を比較したところ、一番効果があったのは、少数派であることを最も強調したメッセージだった。「イギリスにおいて10人のうち9人は税金を期限内に支払っています。という文言だ。
ハーディング効果は、ときに選択肢の誘導にもつながる。みんなの意見が明らかに間違っていても、自分の意見に賛同者がいないと、「もしかしたら自分が間違っているのかも」と、考えを変えさせてしまう影響力がある。個人の意見を重視するアメリカでも、こういう傾向はみられるという。広告などで、商品やサービスの乗り換えを促すために、不安をあおる内容はよく見られる。それは1つの方法ではあるけれど、みんながこの方法を多用すると、結果として業界全体にネガティブなイメージが強くなり、長く使い続けてくれることにつながらない。不安だけではなく、こちらは楽しいよ、安心できるよ、というポジティブな伝え方にも目を向けよう。
《活用方法》
活用1.具体的・段階的に書く
ユーザーに行動してもらうには、印象に残る短い言葉だけでなく、なるべく具体的に伝えることが大事である。イギリス実験でも「10人のうち9人は」では、大きな行動変化は見られなかったけれど、「あなたは少数派です」という言葉を加えたことで、納税する割合は増えた。順に要点を押さえつつ、冗長にならない文章構成を意識しよう。インターネットが普及してから、人は長い文章を読むことに抵抗が少なくなってきたので、必ずしも短くまとめ過ぎる必要はない。
活用2.不安よりも安心を伝える
ユーザーが不安を感じたら、すぐに安心を伝えることが大事である。海外主張していて数日たったとき、SMSに「大幅に通信量がかかっている可能性があります」という連絡があり、不安だったのでサポートセンターに電話をかける」そんな時、相手は開口一番「大丈夫ですよ」と、安心を伝えてくれた。そして、相手の声は非常に落ち着いてたものもしさを感じさせる話し方だった。こうした経験は最近特に多くなってきたように感じて、サービスの満足度は高まってきた。
活用3.少数派の居場所をつくる
スポーツチームやアイドルグループでも、少数派のファンは一定数いる。少数派がいなかったら、多数派は楽しくない。なので、少数派も大事にしよう。もしあなたが、2番手3番手の少数派に向けたサービスや商品を扱っていたなら、ユーザーを安心させることを意識しよう。例えば少数派ならばそのコアなファンがいることを伝えたり、1番手にはないエッジのある魅力があることを強調するなどである。コツは、少数派であっても「あなただけではない」と伝えることである。
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