行動経済学とは、一言で言うと「経済学」と「心理学」を合わせた学問である。20世紀後半からアメリカを中心に発展してきた、かなり新しい学問分野といえるでしょう。行動経済学は、伝統的な経済学とはどのような違いがあるかというと、そもそも経済学とは、その名の通り経済について研究する学問であり、景気の動向や企業活動のもたらす影響、人々の購買に関する法則性といったものを研究対象としてきた。
経済学の中でもマクロ経済、ミクロ経済、経済思想研究、といった様々な分野があるが、それなり伝統的な経済学に共通するのは、「人間は合理的であり、常に利益を最大化するために最適な行動をとる」という前提があることである。つまり、これは平たく言えば「人は常に正しく損得を勘定し、その結果最も利益を得られる決断をする」という想定で理論を展開しているということである。
しかし実際の人間は、そこまで合理的ではなく、人は常に計算通り一貫した選択をするとは限らないし、その時々の状況によっては、よく考えると筋が通らない非合理的な判断をすることが多々あるものだ。人の行動には人ならではの「心」の作用が深く関係していて、計算結果だけで判断するコンピュータとは違うということである。行動科学ではこういった「コンピュータのように合理的ではない、リアルな人間の心理や考え方」を踏まえて経済理論を展開する。ここが従来の経済学と大きく異なるポイントである。
行動経済学ではこういった「コンピュータのような合理的でない、リアルな人間の心理や考え方」を踏まえて経済理論を展開するもので、これが従来の経済学と大きく異なるポイントである。行動経済学とビジネスの関係性を理解する上で、欠かせないことは「ユーザーに着目する」という視点である。売り手が考えたビジネスの企画と、ユーザーが欲しいと思っているもの・ことの間には、多くの場合ズレがあるはずである。ここに行動経済学の考え方を取り入れることで、両者の間のズレを解消することができる。
現代は、不確実性の高い社会と言われている。一方、こうした状況の中で、あらゆるビジネスの領域で、イノベーションが不可欠だとも言われている。しかし、多くの企業はイノベーションを理念に掲げながらも、実際にはビジネスのイノベーションを起こせていないように思われる。もちろん、それは簡単なことではないが、その理由の一つに、商品やサービスを企画・開発する人が、利便性や効率性ばかりに着目していることが、関係しているのではないかと思われることである。スターバックスの店舗やアップルの商品に人々が注目するのは、必ずしも値段や性能など、スペックだけで判断しているからではないはずだ。
自分にとってかけがえのない場であったり、使っている時の心地よさなどであったりする。スターバックスやアップルは、商品やサービスに対してユーザーが感じる価値を再定義したことで、コーヒーやデジタル機器の市場を大きく変えることが出来たわけである。
このような価値観の変化に対して価格や性能で対抗しようとしても、ユーザーの関心は全く別にあるので、競争にならない。利便性や効率性とは違う軸にユーザーの価値を見つけられるかどうか、ビジネスにおけるイノベーションを切り開くカギがあると言える。
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