パワーマネジメントとは(2)

《パワーマネジメントについて》

 パワーマネジメントとは、目標に向けて周りのメンバーや、メンバーの持つパワーの使い方や環境等を含めたパワーのバランスに対する管理を行うことをいう。では、具体的目標達成に向けたパワーマネジメントとはどのようなものなのだろうか。パワーマネジメントの流れは、まず、どのような目標を達成したいのかを明確にしておく。次に、目標実現については、多くのものは自分一人で達成していくことが難しいため、組織のメンバーの中から、目標達成に向けたアクションに際してキーパーソンとなるメンバーを把握する。

 組織に属するメンバーは、同じ組織に属しているとしてもそれぞれに固有の価値観や考えを持つ、また、それぞれの目標自体も異なっているが、自らの目標達成のためには、そのようなメンバーにも自分の考えに従って行動してもらう必要がある。その上で、自分とキーパーソンとの依存関係やそれぞれの持つパワーの内容やその状況を把握するようにする。そして、自分の目標達成のために必要なパワーはどのようなものであり、どこに由来するものであるか、また、自分の持つパワーより大きいものにするためには何をすべきなのかについて考え、実際の行動につなげていく。

 より具体的には、新任の営業部員Aさんが初期の目標として新規顧客の開拓目標を設定したとして、どのようにパワーマネジメントを行って目標実現に取り組んでいくのだろうか。同じ営業部の先輩社員のうち、Bさんが新規顧客の開拓に優れた社員だったので、Aさんにとっては目標(=新規顧客の開拓)の達成に向けたキーパーソンとなる。Bさんは新規顧客開拓のために社外の異業種交流会等に積極的に参加し、そこで広げた人脈を新規顧客開拓に役立てていた。それがBさんのパワーであると言うことができる。

 Aさんは異業種交流会等の社外のイベントへ参加した経験がなかったので、Bさんの持つパワーがAさんの目標達成に役立つ可能性の高いパワーとなることから、AさんはBさんに依頼して異業種交流会へ一緒に参加させてもらい、そこで広げた人脈を活用することにした。このようにしてBさんの持つノウハウ(パワー)を共有させてもらうこと(=エンパワーメント)を通じて、Aさんが元々持っているパワーを強化することにつなげ、新規顧客の開拓という目標達成に取り組んだのである。

 このようにキーパーソンのパワーと自分のパワーを比較し、目標達成のためにどのようなパワーが必要で、そのパワーを強化するためには何が必要であるかを考え、そのパワーを使用するための戦略や戦術を開発し、タイミングやコンビネーション等を熟孝して効果的に活用していくのだ。

 以上、組織と人材マネジメントにおけるパワーやマネジメントについて説明してきた。組織のメンバーの持つパワーを効果的に活用できれば、組織自体の目標も個人の目標も達成に向けて進めていくことができるが、組織内での政治活動に利用されてしまうと逆に悪影響を及ぼすことになる。組織のリーダーを任された人は、自らの目標達成のためにパワーを発揮していくことに加えて、メンバー間のパワーマネジメントにも注意を払っていくことが重要である。