a) 総合職離れ
総合職離れとは、「総合職」となって働くというスタイルとは違うスタイルを志向する男性が増加している状況を指す。一般的に総合職として採用されると、勤務地は日本全国又は世界各地となり、将来の幹部候補として働くことが期待されている。これに対して、男性でも勤務地を限定して働きたいという人が増えてきており、「地域限定社員」などの制度を持つ企業が増えてきている。地域限定社員制度では、一般的にキャリアパスは限定されているが、給与は保証されている。
この地域限定社員制度ができてきた背景としては、新卒で入社した人材全員が管理職になることを希望しておらず、自分の生活スタイルを重視するという態度に重点を置いていることがある。例えば、西日本旅客鉄道(JR西日本)は、「エリア総合職」という制度を設けている。これは、女性が自分の出身地へUターンを希望する学生の採用を促進することを狙ったものである。同様の制度は、三井住友カードや大和証券グループでも活用されている。
b) プロフェッショナル志向
総合薯離れのところでも触れたように、管理職になることを目指すのではなく、プロフェッショナルとして働きたいという人も増えている。特に中途採用の対象となる人材に、このプロフェッショナル志向を持つ人が多いようである。ソフトウェア技術者や薬剤師、弁護士、会計士、税理士等の資格を持って企業組織の中でその専門スキルを活かしたいという人は増えている。
企業としても即戦力となる人材なのでニーズは高いのだが、通常の採用や配置では対応が難しいという面もある。中途採用市場でどのように採用されていくか、そして採用した人材をどのように処遇していくかがあらたな課題となってきている。
c) 再雇用
近年、景気が回復してきた場合に一度職場を離れた人材を再雇用する企業が出始めている。景気の低迷した時期に人材採用を手控えた企業は、給与減額や人員整理も行っており、その結果有能な人材も職場を去ってしまった。人材の再雇用を積極的に行った企業としては、千代田化工建設やりそな銀行の例がある。サントリーホールディングスやオリックスなどの企業は再雇用制度を設け、仕組みとして再雇用を実施している。60歳の定年後に嘱託として再雇用したり、65歳定年制度に移行したりなどして、再雇用の仕組みを設けている。
再雇用は、女性の能力活用という観点からも重要な意味を持つ。出産・育児を理由として退職する女性はまだまだ多い。企業でも単に再雇用で受け入れるだけではなく、キャッチアップのために能力開発プログラムを提供したり、モチベーション向上につながるような評価制度を用意するなどの対応も必要となる。人事システムのサブシステムのうち、『採用システム』ついて説明してきたが、採用システムは、将来にわたって企業組織を支えていく人材を確保していくために必要不可欠のものである。