3.カンパニー制組織
カンパニー組織とは、事業部制組織の独立性をさらに高めた組織形態である。事業部制組織の各事業部を独立会社として扱うもので、事業部制組織よりも独立性が高く、事業成果が明確で、責任も重い高度の分化制度である。社内の本社機能の下にカンパニー(疑似会社)をおく社内カンパニー制と、本社機能が各事業会社の株式を保有し、各事業会社のコントロールに専念する持ち株会社制とがある。
社内カンパニー制では、各カンパニーに対して疑似資本金が配賦され、一定の基準に従って貸借対照表や損益計算書を作成し、会計上、完全に独立した事業体として扱われる。持ち株会社性は、日本では1997年に独占禁止法が改正されて認められるようになり、広まってきた。その独占禁止法改正以前は、本社自体も事業部門を保有しながら、子会社を保有するという形をとってきた。
また、カンパニー制であっても、各事業会社間のシナジー(相乗効果)が働く範囲での展開をするのが一般的だが、本社が投資会社的な立場となって、個々の事業会社のシナジーがあまり働かないようなケースも見受けられる。それでは、カンパニー制のメリット・デメリットについて見てみよう。カンパニー制組織は、事業部制組織と同様に組織を分権化し権限の委譲を志向する組織形態であるため、そのメリットやデメリットの大半は、事業部制組織のメリット・デメリットと共通のものになる。
しかし、カンパニー制は事業部制組織よりもさらに分権化が進んでいるため、これらのメリットやデメリットは事業部制組織のものに比べて大きなメリット・デメリットであるということができるであろう。カンパニー制のメリットは次のようなものがある。「①意思決定と実行の更なるスピードアップ」「②組織活性化と事業の『利益』を意識した経営が可能」「③経営システムの簡素化」「④将来の経営トップの育成」「⑤経営資源の効率的な配分が可能」「⑥事業の売却や事業構造の変革が容易」。
一方、カンパニー制のデメリットは次のようなものが挙げられる。「①独立性が強すぎるため全社的な統一が図りにくい」「②全社での共有が望ましい経営資源が分散して全体の資本効率が損なわれやすい」「③部分最適化に陥ってカンパニー間の技術交流・人事交流がすくなくなり、カンパニー間のシナジーを生み出すのが難しい」「④間違った判断で突き進むリスクがある」。
一時期、社内カンパニー制を採用する企業は多かったが、それらの企業でも上記のようなデメリットから社内カンパニーを廃止し、事業部制組織に戻すなどの対応を行った企業もある。社内カンパニー制を廃止した企業の例としては、NECや富士ゼロックス、ソニーが挙げられる。これらのデメリットを緩和するため、本社機能は全体最適の視点でリソースを再配分するなどして、経営資源の合理化や効率化を図ることが求められる。
ここまでの機能別組織、事業部制組織、カンパニー制組織は、その組織内に階層性がヒエラルキー組織に分類される。いずれの組織構造にしても、ヒエラルキーの階層を何層にするか(同時に1人の管理職が何人の部下を管理するか)という問題が生じる。近年は意思決定のスピードアップのため、階層数を減らして組織のフラット化を進める企業が増えている。この1人の管理職が直接管理している部下の数や業務の領域を「スパン・オブ・コントロール(Span of Control)」という。
組織の階層だけでなく、必要となる管理職者数や人員の具体的な配置を考える上で、このスパン・オブ・コントロールは重要な要因となる。部下の人数が多すぎのと、管理者の目が届かず、管理者からのサポートや情報提供が不十分になることが考えられる。逆に部下の数が少なすぎると、相対的に管理者数が多くなってしまいコストが高くなってしまうことや、管理職過剰になってしまい部下の自主性が育ちにくくなることが考えられる。適正な管理範囲を決定することは難しいことである。それは、業務内容や業務のやり方、アウトプットの質や量、管理者や部下の能力などの違いを考慮する必要があるためである。