組織構造モデル-その6(ネットワーク組織・ITと組織構造)

6.ネットワーク組織

 ネットワーク組織とは、大きな自立性を持つ組織単位が相互に緩やかに連結した、非階層的で自己組織的な組織形態をいう。もう少し具体的に言うと、インターネットやソフトウェア、人的サービス網が様々に結びついた情報通信ネットワークを背景として、ITを駆使した情報の創造開発と交流を目的とした緩やかな提携関係をいう。この提携関係は、国や業種、企業規模を超えて、企業間や部門、個人間、などで築くことが可能である。

 この緩やかな提携関係の中で、様々な異質な情報を結びつけて新しい意味のある情報を創造するする場所を作り出し、イノベーションや情報、データベースの活用を通じて異業種・異分野への壁を乗り越えて参入することを可能になると考えられている。また、ネットワーク組織では組織の組み替えを容易に行うことができるため、経営環境の変化に柔軟に対応することができるとも言われている。

 このように、ITや情報通信ネットワークの高度化に伴って、新たな組織構造が作りだされているという面もある。それでは、ITの進化と組織構造との関係について考えてみよう。インターネットや電子メールといったITに対する取り組みが企業組織に大きな影響を与えるという人は、もはや常識となっているとも言えるだろう。しかし、ITによる新しいビジネスモデルの構築に合わせて、組織の在り方を変革する視点というものはまだ不足しているといえる。ITを活用したビジネスモデルに従って組織構造をデザインした事例として、DELLの事例を見てみよう。

 DELLのビジネスモデルは、顧客の望むパソコンを開発し顧客が望むタイミングで受注生産することによって競争優位を築くというものである。そのために、顧客との接点(顧客から受注するポイント)を重視し、顧客からの注文や要望を細かく受ける事ができるようにしたり、顧客からの仕様や設計以降の全工程で共有されるように工夫されている。

 DEELに限らず、ITを活用したビジネスモデルを築き上げることができれば、企業組織が市場との結びつきを深めることができ、顧客の動向やニーズを直接的に吸い上げることができる可能性は高まる。このようなビジネスモデルを有効に機能させるためには、組織構造のデザインの面からも注意すべき点がある。このDEELの場合は、次のような点で配慮がなされた。「インターネット以外で注文する顧客へ対応するための販売組織に経験豊富な販売員を配置する」「顧客からの要望を受け付ける販売サポートチームと次期製品を設計する担当マネージャーが密接に連携している」。

 このような配慮を行うことによって、同社の強みをさらに強化するための組織構造をデザインしたということができるであろう。一般的に日本企業では、ITを導入するとなると電子メールを活用して組織をフラット化しようとするなど、組織構造の見直しを行うという例が多く見られた。また、ITを導入・活用したからと言っても企業の競争力を高めるようなビジネスモデルが生まれることは稀で、組織構造いじりに終始してしまうということがよく見られる。

一方DEELのケースでは、ITの導入・活用を前提としてビジネスモデルを構築し、そこで明確になった機能を組織構造として組み上げるというアプローチをとっている。このようにITと組織デザインを連携させることによって、ITはその企業にとって大きな武器となり得るのだ。以上、それぞれの組織構造モデルの、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて見てきた。

企業にとって最適な組織構造とは、その企業組織の業務内容や構成するメンバーの人員や経営戦略によって変わる。また、ITの技術やネットワークの進化によって、組織構造の形態も進化している。どのような組織構造にしたら、組織を構成するメンバーの能力を引き出してより効率的に経営戦略を実現できるのか、マネジメントにとっては常に大きな課題であるということができるだろう。