良き組織文化を守るためのトップ・マネジメントの役割

 組織文化の維持に力を注いでいる代表的な企業として、GE(ゼネラル・エレクトリック)がある。GEでは、常にトップ・マネジメントがGEバリューと呼ばれる価値観を浸透させる機会を持ち、GEバリューがいかに優れているかをメンバーに対して説いている。そして何より、トップ・マネジメントが行動規範となり、全社員の行動モデルになるように心がけている。

そのようにして歴代のトップがよき組織文化を継承してきたことにより、GEという企業はその強さを維持してきたのである。よき組織文化が醸成されている企業組織であれば維持していくことが大切だが、悪しき企業文化になっている企業組織では、その組織文化を追い出したり変革していくことが求められる。組織文化を変えていくことは大変難しいことであるが、一定の条件が揃えば十分可能である。

その条件とは次のようなものである。「属する文化を変えようと先導するメンバーや、文化を強制的に変えようとする外部の人間がいること」「別の文化に好ましい感情を抱き、積極的に受容する人間がいること(今の組織文化のままではだめだと危機感を持つ人間がいること)」。 企業組織の経営状態が悪化し、外部から相応しいトップ・マネジメントを招いた結果、それまでの組織文化から変わってしまうことがある。

家族主義的経営を行ってきた企業組織が大胆な人員整理によるリストラを行い、成果主義的な評価制度を導入した結果、組織メンバーの目の前にあるのはノルマであり、組織内の雰囲気はぎすぎすしたものとなる。このような状態になってしまっては、組織メンバーのモチベーションも低下し、企業組織全体としてのパフォーマンスも悪化してしまう。

 このようなケースにおいては、以前の家族主義的経営に戻すことによって、メンバーは心理的に落ち着きを取り戻し、企業組織として復活することがある。成果主義的な経営に基づく組織文化が好ましいとするメンバーが多く存在する場合、トップ・マネジメントが家族主義的な経営に回帰することによって、改めて家族主義的な組織文化が受け入れられるのである。

組織文化が揺らいでしまうと組織内に混乱が生じてしまう。しかし、混乱の中で再び良き組織文化を定着させていくことがトップ・マネジメントにとって重要な仕事なのである。しかしながら、家族主義的経営が決してベストな組織文化を育むというわけではない。組織文化を変える必要性は企業の経営理念に照らし合わせて考えなければならないものであるということである。そうした意味でも、やはり、トップ・マネジメントの役割が重要であることは間違いないところである。