ヒューマンリソースマネジメント(人的資源管理)とは、その言葉の通り、ここでは企業という組織を構成するメンバーを「人的資源」としてとらえる。企業組織にとっての資源とは、他の資源と組み合わせることによって新たな価値を生み出すものである。人を資源として捉えた場合、マネジメントの行動原則は、「人という資源をいかに活用するか」、つまり多様な経営資源をそれぞれの能力に応じてどのように組み合わせるかということになる。
人的資源とは、モノ、カネ・情報といったその他の経営資源と効果的に組み合わせて活用することによって、企業にとっての価値を生み出す人材ということができる。企業組織を経営するにあたっては、企業内外の環境とは切り離せないものである。企業を取り巻くステークホルダーには、労働組合や株主から地域住民に至るまで、様々な人が存在する。当然、人的資源の管理を行っていく上でも、その組織にかかわるステークホルダーへの影響を考慮に入れる必要がある。
また、人的資源については、大きく3つの局面に分けることができる。1つは、人材の採用をはじめとする「インフロー」、2つめは昇進や人材開発にかかわる「内部フロー」、3つめは、社員の退職に関する「アウトフロー」である。また、人材資源管理においては、ステークホルダーの影響を考慮しながら、上記3つの局面において企業と人との関わりを管理し、意思決定を行っていく。これらの人的資源管理に関する意思決定は、人事担当者だけが行うのではなく、ラインマネージャーをはじめとして組織のメンバーが関わっていくものである。
企業の中で常に行われている製造・販売・管理等、様々な局面での意思決定について、人的資源管理にかかわる意思決定を行っている。その企業組織内において、全ての人々がこれらの様々な活動を理解しない限りは、その企業組織において、整合性を持った適切な人的資源管理システムを構築することはできない。つまり、人材募集や評価制度、組織開発など、各個別の問題に対して、それぞれの専門家や専門部署が唯一の実行部隊としてかかわったとしても、制度内での全体的な整合性を取っていくことは難しく、一貫性をもった対応が難しくなるということである。
伝統的日本の企業組織の多くでは人事部門が強力な権限をもっているため、人的資源管理の分野においては、「一括採用」「配置」「教育」「評価」等の各種機能のみがクローズアップされがちである。しかし、組織は人の集まりであり、企業戦略の実行に移していくうえで人的資源管理は重要な核となるものである。そのため、人事部門やマネージャーをはじめとする現場のメンバー達も、経営企画部門などと一緒に戦略の立案から実行まで主体的に役割を果たしていく必要がある。
つまり、人的資源管理の目的は、「優秀な人材を募集・選考」し、「適切な昇進・昇給を管理」し、「報酬(または報償)やインセンティブを通じて社員のモチベーションを高める」ことを通じて、「人材を有効に活用し育成していくこと」にあるということができる。
そのために重要なポイントは次の3点にある。①ビジネスの状況を理解すること。②従業員のニーズを満たし、公平性を常に保つこと。③人事部以外のスタッフやマネージャーも積極的にこの機会や仕組みを理解し、意思決定に参加していくこと。この3点がヒューマンリソースマネジメントの要諦となる。