組織とは何か(その2)

(1 )組織の経済的特性

 経済的特性を踏まえて組織を見てみると、組織を構成する人には長期的な「資本」としての特性と、短期的な「資源」としての特性がある。

(2) 資本としての特性

 資本は、付加価値を生み出すもととなるものである。「人的資本」という言葉があるが、これは人が持つ生産に関する能力を表している。人的資本の価値は教育・訓練によって高めることができる。企業活動において、学歴重視による採用が行われていることがあるが、これは高学歴の人間は人的資本としての価値が既に高いとみなされていると考えることもできる。

 人的資本として捉えたとき、その価値を高めるためのマネジメント活動が重要となる。個人が、自ら人的資本としての価値を高めるために努力することもできるが、組織として教育やトレーニング・プログラムを提供することによってその価値を高めることができる。つまり、教育はマネジメント側から見れば投資ということができ、この場合の行動原理は「いかに効率よく投資するか」ということになる。

(3) 資源としての特性

 資源は他の資源と組み合わせることによって、価値を生み出すものである。その組み合わせを行っていくのは、マネージャーの役割である。メンバーをどの部署に配置してどのような仕事を任せるかについては、本人の能力だけではなく、他の人間の能力との関係や業務内容、働く場所などに配慮する必要がある。人を資源として捉えたとき、マネジメントの行動原則は、「人という資源をいかに活用するか」と言ことになる。

 つまり、多様な資源をそれぞれの能力に応じてどのように組み合わせるかということである。企業組織を取り巻く関係者のことを「ステークホルダー」(利害関係者)という。具体的には、経営者や従業員、株主・債権者、顧客、取引先、地域住民など、企業活動の影響を直接的・間接的に受け入れる人々や団体のことを言うが、最近では、このステークホルダーの利害のバランスを取りながら付加価値を生み出していくような経営を企業は求められており、その一環として「CSR活動」(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に取り組む企業が増えている。

 企業はある目的をもっている。つまり、企業組織は「意志」を持っているということができ、この組織のマネジメントを検討していく上で重要なポイントとなる。通常、企業は創業者の熱い意志によって生み出される。しかし、その意志が他のメンバーに共有され、協働することに繋がらなければ意味がない。いかに創業時の意志をメンバー間で共有するかが重要なポイントになる。

 企業の意志に関する具体例として、HONDAの例を身と見てみよう。HONDAは、「人間尊重」と「3つの喜び」を基本理念として定めている。人間尊重には、「自立」「平等」「信頼」の3つがある。自立とは、自分で自由に発想し主体性をもって行動し、自分の行動には責任を持つということを、平等とは、学歴や職種に関わらず社員に対して平等に接するということを、信頼とは、社員同士お互いに尊重し合って信頼して仕事をしようということを表している。

 3つの喜びとは、「買う喜び、売る喜び、創る喜び」のことである。HOMDAではこの基本理念を社員間に浸透させるために、階層別研修を行うだけでなく、「HONDA Philosophy」というポケットサイズの小冊子を作製して、全社員に配布している。こうして、創業者である本田宗一郎氏や創業時の社員の志が脈々と受け継がれて来たのである。しかし、創業時の志を維持することは簡単なことではない。

 志がいかに優れたものであっても、その企業組織が提供する財・サービスが市場に受け入れられるとは限らないし、市場では激しい競争が待っている。市場や企業を取り巻く環境も刻々と変化し続けている。つまり、そのような変化や競争の激しい環境を生き抜いていくためには、志をもつだけでは不十分であり、それを維持し具体的な経済活動に落とし込むこと、つまり、戦略を作り足出し、いかに実行していくかが重要なのである。