《運用手順》
①被評価者の種類・職務、レベルの特定:どのスタッフが、どのレベルのシートを使うを決定する。
②自己評価の実施:最初にスタッフが自分自身の知識やスキルをチェックする。なお、下記の基準に沿って記号を入力する。
○:一人でできている(下位者に教えることができるレベルを含む)
△:ほぼ一人でできる(一部上位者・周囲の助けが必要なレベル)
×:できてない(常に上位者・周囲の助けが必要なレベル)
(※)業務上、該当しない評価項目は「-」として評価対象外とする
③上司評価の実施
評価が終わったら、次の上司の目でチェックする。判定基準は自己評価同じ。
④上司による「コメント」の記入
評価のポイントや理由などを記載する。その後上司と部下が面談して、お互いの評価
が異なっている場合は、なぜその評価を付けたのか、さらに知識・スキルを向上させる
には、どうすればよいかを話し合う。
《評価を賃金や待遇に反映させるときのポイント》
人事評価の結果を賃金や待遇に反映させるときは、「どの等級になればいくらもらえるのか(賃金表)」を明確にすることが大切である。また、「どこを改善したら上に上がれるのか」という個々の改善点についてもきちんとフィードバックしておく。評価基準を明確にしないまま人事評価の数字だけで給与や待遇を決めると、社員の反発を招く。
「どれだけ頑張れば給与がどの位上がるのか」「昇格できるのか」が分からないまま働けば、モチベーションを維持できない。社員が「きちんと業務に取り組めば等級が上がって給与も増える」という未来のキャリアパスを描きやすくすることが大切である。具体的な目標があればこそ、社員のパフォーマンス向上にもつながる。
なお、上記の人事評価制度は、従来型の職能資格制度を基本にして、成果部分のウエイトをやや大きくしたものである。したがって、人事評価が同程度であれば、昇進や昇格に値する成績と評価されても、課長や部長といった役職は1つであるため、「専門課長」「専門部長」「理事」などのポストを増設したり、子会社への出向といった苦肉の策を講じることで凌いだという問題を解決するに至っていない。
DX時代の到来を機に、「部長」「課長」という管理職位は最早必要ないのでは?
といった意見も聞かれるようになった。それなれば、いっそのこと、「スキル」や「ノウハウ」といった職務遂行能力は、企業がOJTなどを通じて磨くのではなく、欧米型のように個人の自助努力に任せ、「期待される仕事の成果」のみで報酬を決める制度に転換した方が合理的ではないか、という議論も再燃しつつある。