人事評価制度を作る手順

 人事評価制度は「やる」と決めてすぐにできるものではない。一般的に、導入までには半年~1年程度かけて準備するのが望ましいとされる。実際に社内に人事評価制度を作る場合、どのような手順を踏む必要があるのか、人事評価を導入する手順を見てみよう。まずは、評価基準を決めることになるが、それは次の3つによって構成されているのが一般的である。

・能力評価:業務遂行能力評価

・情意(態度)評価:業務への取り組みや勤怠評価

・成績評価:一定の期間内に達成された業務の量、質の評価

 それぞれの評価については良い方から順番に5~1段階で数値化した5段階評価を使用するのが一般的である。また、これらの評価を補うために、以下のような評価手法を併用するのも有益である。

・コンピテンシー評価:モデル化された優秀な社員の行動特性と比較し、同じような行動がとれているか否かで評価する手法

360度評価(多面性・周囲評価):上司だけでなく、部下・同僚など多様な社員が一人を評価する方法

・目標管理制度(MBO):個人が立てた目標の達成率や達成プロセスで評価する方法

上司が判断した5段階評価では評価の偏り・誤りが懸念される。評価される側が「公である」と感じられるよう、人事評価では異なるタイプの評価制度を併用するのが望まい。評価制度を併用すれば、「業績が悪いけれど、やる気はあり他者からの評価も好」など、一面的な評価では見えない長所が見えてくることもある。これは、社員のモチーションを保つ上で非常に有益である。

評価制度が決まったら、次に、「誰が担当するか」を決めなければならない。一般的には、社員直属の上司が評価者となることが多いだろう。ただし、評価者となるには「私情を挟まない」「評価ポイントをきちんと把握している」といったことが必須条件である。誰が評価者となるにせよ、「評価者となるための研修」は必ず行わなければならない。

 また、人事評価は期間を決めて行われる。変動しやすい情意評価と成績評価は半年に1回程度、変動がそれほどない能力評価は1年に1度程度というのが一般的のようだ。さ、人事評価制度を導入する際は個々の社員用の「人事評価シート」が必要となる。どのようなシートを作成しようか迷っているようであれば、「厚生労働省のテンプレート」を活用することをお薦めする。人事評価制度の導入を推奨しているだけあって、様々な職種の評価シートが揃っている。

厚生労働省の人事評価結果シートはすぐに活用可能であるところが魅力である。「職業能力評価シート」は、厚生労働省が提案するチェック式の評価シートである。「評価シート(本体)」と「サブツール」の2つで構成されており、社員の能力や知識を具体的に評価できるようになっている。キャリアマップや活用マニュアルもセットになっており、自社に該当する職種の評価シートをダウンロードすれば活用できる。

 こちらを利用すれば、評価を受ける社員に対し「能力はどの程度なのか」「次のレベルにいくには何が不足しているのか」を具体的に提示することが可能である。定期的にチェックすることで、社員自らが習熟度のアップダウンを把握しやすくなる。