MECEの7つの切り口:類似性・二項対立によるMECEの切り口

《類似性によるMECEの切り口》

 類似性の切り口では、「共通の特徴を見つけてグループ化する」ことで、MECEを実現することができる。この切り口の考え方は非常にシンプルだが、全体をうまく説明することができる共通の特徴を見つけることが重要である。例えば、カゴに入った農作物を、「野菜と果物に分ける」というような例が該当する。その他にも、「色(カゴの中をオレンジ、黄、緑の色で分ける)」「形(カゴの中を丸いもの、細長いもので分ける)」という類似性で分けることもできる。

 この類似性の切り口では、「そこにあるものが全てと定義すればモレがない」「それぞれの特徴を具体的に定義できればダブリがない」ことになる。今度は、コンビニを例として「顧客の支払い方法」を類似性の切り口でMECEにすると、「現金による支払」「磁気読み取りによる支払」「IC読み取りによる支払」「二次元コード(バーコード・QRコード)読み取りによる支払」というようになる。コンビニが採用している支払い方法は決まっているので、現状で対応可能なものを挙げればモレはない。しかし、重複する特徴で分類してしまうと、ダブリが発生する虞がある。

 例えば、先ほどの例を、「現金による支払」「カードによる支払」「二次元コード(バーコード・QRコード)による支払」と分類してしまうと、MECEにならない。なぜなら、「カードに印刷されたバーコードで支払う」という支払方法があるからである。なぜこういったことが起きたかというと、最初のMECEは「読み取り方法」という同じ特徴で分類していた「(「現金による支払)」はお金の目視による読み取りでの支払い」と置換える」。一方で、次に挙げるMECEに失敗した例は、「形状」と「手法」という2つの特徴が混在してしまったため、ダブリが生じてしまったのである。

 

《二項対立によるMECEの切り口》

 二項対立による切り口では、「互いに反する概念で2つに分ける」ことで、MECEを実現することができる。この二項対立を使ったMECEの切り口は、項目が2つしか登場しないため比較的簡単に使える。例えば、AvsA以外、Avs反Aなどがそれである。この二項対立のMECEは、{「それ」と「それ以外」を足し合わせるとモレがない}、{全体から特定のモノを抜き出しているのでダブリがない}ことになる。

 コンビニを例にとると、「来店客」を二項対立の切り口でMECEすると「過去に来店したことがある客vsそれ以外の客」と「目的があって来店した客vs何も目的がなく来店した客」などが考えられる。このMECEの切り口をうまく使うコツとしては、「必ず反対の定義を挙げる」ことである。例えば、「目的があって来店した客vsたまたま立ち寄った客」としてしまうと、一見問題がないように見えてもMECEに失敗している。なぜなら、「目的があってたまたま立ち寄った客」というダブリが存在するからである。このように完全に反対の事柄を設定しなければ、モレやダブリが生じてしまうかもしれない。