MECEの7つの切り口:因数分解・因果関係・類似性・二項対立・分割・尺度・プロセス

 MECE(ミッシー)とは、「モレなくダブリなく」という意味のビジネス用語で、情報を論理的にわかりやすく整理するための手法である。MECEを使いこなすことで、ビジネスやプライベートで論理的思考(ロジカルシンキング)を実践できるようになる。ここではこのMECEの切り口として、次の7つのパターン[(①因果関係:共通の結果をもたらす複数の原因を探す)、(②類似性:共通の特徴を見つけてグループ化する)、(③二項対立:互いに反する概念で2つに分ける)、(④分割:全体を境界線で3つ以上に分割する)、(⑤尺度:直線状に並んでいるものを任意の点で区切る)、(⑥プロセス:物事が起きる一連の流れを見つける)、(⑦因数分解:出来事を掛け算の数式に変換する)]を考えてみる。

 この7つのパターンを、コンビニエンスストアを例題として具体的な例を紹介している。MECE(モレなくダブリなく)は、コンサルタントのバーバラ・ミント氏が1973年に出版した著書「The Minto Pyramid Principle(ミントのピラミッド原則)で世間に広まった考え方である。ミント氏は身のまわりの情報を、「因果関係によるグループ化」「類似性によるグループ化」「構造によるグループ化」の3つの方法でグループ化することができると説明した。

そして3つ目の「構造によるグループ化」では、特に漏れがあったり重複したりすることが多いため気をつける必要がある。そこで以前の記事では、ミント氏の考えをベースにこれを「5つの構造タイプ:二項対立、分割、尺度、プロセス、因数分解」に再分割してMECEを7つの切り口で紹介されているものがあったので、それらについて順次説明する。

《因果関係によるMECEの切り口》

 因果関係の切り口は、「共通の結果をもたらす複数の原因を探す」ことでMECEを実現することである。ここで、因果関係とは、「Xが原因となってYが起こる」という関係のことを指すものであり、たまたま同時に連動して発生する現象である相関関係とは異なる。例えば、「人材不足」という結果に対して、複数の原因となった重要な出来事をあげることができれば、因果関係によるMECEといえる。コンビニを例にとれば、「店舗の人手不足」という結果を因果関係の切り口で分析すると、

・原因A:近隣にある大学が店員割れするほど学生が減っている

・原因B:向かいの敷地に競合他社のコンビニが出店した

・原因C:求人募集しているバイトの時給が見劣りする

 などが直接的原因となる。それぞれ「母数の減少」「人材確保の激化」「競争力の低下」という異なる出来事で、「店舗の人手不足」という共通の結果をもたらしている。この因果関係の切り口は、「すべての原因をあげることができればモレがない」「原因を個々のレベルに分解できればダブリがない」となる。もちろん、物事が起こる原因は大小様々で、すべてを網羅することが難しい時もある。また、複数の出来事が複雑に絡み合っていることもある。そういうときには、起きている出来事を小さく切れ分けて、それぞれについて因果関係を考えてみる必要がある。