ロジカルシンキング(論理的に説明するフレームワーク)

 Logical Thinking(ロジカルシンキング)は直訳すると、「論理的思考」である。論理学でいうと、古代ギリシア以来、三段論法に代表される「演繹法」、個々の例から共通項を見つけ出し結論を得る「帰納法」、テーマが間違っていると仮定することで最終的にそのテーマの正しさを証明する「背理法」などが代表的な思考法である。

論理学で使用される場合と異なり、ビジネス上、「ロジカル(論理的)」であるとは、「考え方に道筋を通し、主張と根拠を論理的に説明するフレームワーク(枠組み)」のことをいう。物事を因果関係(原因・結果)、相関関係、包括関係などに整理し矛盾なく考える思考法である。また、ビジネスでは「相手が納得できること」がポイントとなる。

ビジネスにおいては、考え方の筋道が通っているだけでは不十分で、相手からの視点も意識することが不可欠だからだ。筋道を立てて話を展開すると同時に、相手が共感できる流れに近づいて行くことが必要である。なお、ロジカルシンキングという言葉は、英語圏ではLogical Thinkingではなく、Critical Thinkingと呼ばれることが多いとも言われている。日本では、あるコンサルタントたちにより、ロジカルシンキングのためのツールや手法が企業向けに提唱され、21世紀になり、ビジネスにおいてブームになった。

代表的なフレームワークに、MECE{ミッシーまたはミーシー、MMutually(お互いに)E Exclusive(ダブリなく) and CCollectively(全体的に)E Exhaustive(モレがない)}の頭文字をとったもの)がある。「全体像を捉える」ために、「お互いに」「ダブリ」「モレ」がないように要素を洗い出すことである。

 あるいは、「だから(So what)と「どうして?(why so)」というフレームワークも有名である。手持ちの情報を「根拠」として「主張を引き出すのが「だから?(So what)」、「主張」を「根拠」とする情報で検証するのが「どうして?(why so)」である。つまり両者は逆方向の、背中合わせの関係にある。

 So What/Why So?(だから何?/それはなぜ?)は、相手に結論と根拠をスムーズに理解してもらうための手法である。So What?(だからなに?):手持ちの要素(根拠)全体、もしくはグルーピングされた要素(根拠)の中から、議題に対する結論として使えるエキスを抽出する作業である。一方のWhy So(それはなぜ?):So What?した要素(根拠)の妥当性が、手持ちの要素(根拠)全体、もしくはグルーピングされた要素によって証明されることを検証する作業である。

しかし、フレームワークありきで物事を考えると発想が貧弱になるという欠点もある。何か考えるとき、まずは経験や直感、アイデアを引き出すアイデア発想法に従って、幅広くアイデアを発散、ゼロベースで考える癖を身につけるべきだ。そして、広がったアイデアに対して、フレームワークで整理したり、モレを埋めていくことで、完成度の高い資料やプランをつくりあげるのがフレームワークの活用法として望ましい。