補足-(2)戦略策定-製品コンセプトの設定

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 前項では「誰に対して何を(どんな価値)」を提供するかの?」のうちの「誰に」に焦点を当てて分析をする方向と手法を紹介した。ただし、戦略は企業の数だけあるといわれるように、ターゲットの選定の仕方も星の数ほどあるので、ここでは考え方のほんの一部を紹介するにとどめ、次の課題である、「何を(どんな価値を)」を提供するかを検討する場面での基本的考え方について触れてみたい。

 消費者が商品やサービスを購入する場合、どんな価値を商品に期待しているかというと、一言で言えば「商品の価値」である。しかし、商品価値は、その商品を使用・消費した時に得られるであろう『使用価値』-「使用品質=個人の使用目的」-「有用性」「品質」、『交換価値』-「市場価値=市場における集団の欲求」-「収益性」-「価格」、『環境価値』-「省資源性(SDGs)」-「低公害性」-「安全性」などを総合して【市場への適正】を判定され、「商品性」-「品質要素の集合」が完成し、市場に投入するに足る【製品・サービス】が誕生することになる。

 さて、先ほど、消費者が商品やサービスを購入する場合、どんな価値を商品に期待しているかと言えば、それは「商品価値」であると述べたが、消費者が実際に購買意思決定をするときの判断材料は本当に上記の要件を満たしていれば十分なのか、という疑問が残る。つまり、商品の形や色、ブランドなどはまったく検討に対しないのかという疑問である。すなわち、商品のもっている魅力のようなものも商品を購入する場合の選択条件の一つにしていることは誰にでも心当たりがあるはずである。

 このような商品に付随した付加価値(属性)は、いわゆる商品の主たる価値(機能性)に優る魅力となることもあるので、企業(特に中小企業)が商品開発を行う場合の優位性を見出す切り札にもなり得る重要な視点である。つまり、消費者が商品・サービスを購入するにあたり、吟味するのは、「1次品質」-「物質的・科学的要素(例えば栄養素、カロリー、消化)-「理化学実験」「実質的効用(機能を買う)」という、1次品質だけではなく、「官能的・計量的・調整上の要素など」-「風味、形状(容器)、乾燥」-感覚的効用(情緒を買う)」などの2次品質である。

 さらに、「イメージ的要素」-「ネーミング、ブランド、企業イメージ」-「心理的実験」-「意味的効用(価値を買う)」といった3次品質が購買意思決定に大きく影響していることはよく知られている。具体的に言うと、1次品質は、2次品質によって判断されることが多い。例えば、こんなに商品の色・柄が美しく、しかもパッケージもしゃれている。このように2次品質にこだわっているメーカーの製品なら、1次品質(実質的効用)も優れれているに違いないと判断し、その製品を購買する。

 このように、2次品質・3次品質で差別化し、参入障壁を作る戦略もあり得ることを思えば、前項で行った市場分析やシェア分析との適合性を見出すことで、他の戦略グループとの差別化できる可能性は十分にありえる。ここで示した、分析は、ほんの入口であり、これから事業計画を立てたり、起業を考えている人には物足りないかもしれない。しかし、こうした考え方応用すれば、多様なオプションがあることに気づき、必ず、自社(自分)にあった市場(顧客)がセグメントが見つかり、それに独自能力(属性戦略も含めて)を組み合わせれば、市場価値が認められる企業に育てられる経営戦略が構築できるはずである。