事業戦略の策定-競合は誰か

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 顧客分析の結果、顧客の多様なニーズを把握し、その顧客によって構成される市場のニーズを把握したとしてとも、その業界に対して影響を与える各種要因を分析いてみなければ戦略は立てられない。業界に影響を及ぼす各種要素としては、①業界プレーヤーの構造、②新規参入の可能性、③代替品の動向、④サプライヤーの動向(調達価格など)、⑤その他の業界動向(法規制、技術革新など)が考えられる(5ForcesPEST)。

(1)業界のプレーヤー構造の把握

 まず、業界にはどのようなプレーヤーが存在するのかを知っておく必要がある。そのときに例えば、製品セグメント別・プレーヤーの売上規模別にプレーヤー名、数を整理しておくことで、業界の特徴に関する仮説も見出すことができる。例えばある消費財業界の場合、低価格製品には大企業から小規模まで多数のプレーヤーが参入しており、参入障壁が低い、あるいは市場が魅力的であったなどの理由から、新規参入が相次いだ可能性がある。それに対して、高価格商品・超高価格商品では、中堅~小規模プレーヤーがほとんど存在しない。そうした事実から判断されることは、参入障壁が高い、あるいは市場が魅力的でないなどが推察されることになる。

(2)新規参入の可能性を探る

 新規参入の動向を分析する上で、①近年すでに新規参入した企業、②現在、新規参入を検討している企業(参入を表明している企業)、③新規参入に関して未知数の企業(参入を表明していない企業)という3つの企業ステージが挙げられる。①と②については、現在の競合と同様に評価できるので、新規参入企業と考えるべきであるが、問題は③である。今後参入してくる企業があるかどうかを予測することは困難である。しかし、可能性が高いかどうかは、「市場の魅力度が高い(高利益率、高成長性)」「参入障壁が低い、および撤退障壁が低い」という視点で評価できる。例えば、ある消費財業界を場(価格動向)、市場の魅力度、参入障壁、これまでの参入動向という4つの視点で評価してみると、(a)個人向け市場:低価格帯、需要は増加しているが、新規参入で単価が大幅に下落(△~×)、高い技術やノウハウが必要ないため参入しやすい()、これまでは参入障壁が低かったので小規模企業の参入が相次いだ。参入可能性は(中)。

 (b)個人向け市場:中価格帯、需要が減少しており成長は見込めず(×)、ノウハウや技術は少ないが高額の設備投資が必要(×) 、需要が減少傾向にある現在は、新規参入はほとんどない、参入可能性(中~低)(c)個人向け市場:高価格帯、需要が増えつつあり、利益率が高い()、高い技術力やノウハウが必要で高額設備投資が必要(×)、参入障壁が高く、参入はほとんどない。参入可能性()(d)法人向け市場:超高価格、利益率は高いが代替品の脅威がある、(×)、高い技術力が必要、かつ高額の設備投資も必要(×)、参入障壁が高いかもしくは魅力がない、参入はほとんどない。参入可能性()

 こうした分析の結果から、個人向け低価格市場は、技術やノウハウはさほど必要なく、設備投資も軽微であるため、参入障壁が低いと考えられる。しかし、これまでの新規参入で単価が大きく下落し、利益率が低くなってきたので、市場の魅力は高くないと考えられる。よって、むしろ「これまでのように参入が続くとは考えにくい」と結論づけられる。今後の需要が止まれば、単価の下落についていけなくなった企業は撤退する、業界の再編が起こるといったことも考えられる。なお、新規参入する際には、参入企業にとってシナジーの働く場合に参入していくことが考えられる。そのため最初に、垂直統合として参入可能な業界(前方業界、後方業界)や領域の近い業界からの参入に注意しておく必要がある。

(3)代替品動向を分析する

 代替品については、まず直接的な代替費品・間接的な代替品をピックアップすることが必要である。そのあと、業界内の製品と共に製品・サービスを分析することになる。分析の手順としては、競争ベンチマークで自社および競合、新規参入・代替品を比較してみる。

(4)サプライ動向を分析する

 業界の原材料提供(外注)の動向についても、考えておく必要がある。ここでは、調達価格や安定調達の可否が市場・業界に影響を与えることになる。そのための分析として、「原材料の調達価格実績」「原材料の潤沢・枯渇」「サプライヤーとの関係性(サプライヤーの売り上げに占める当業界の割合が低ければ、価格圧力が強まる恐れがある)」などが挙げられる。

(5)その他業界の動向を把握する

 業界に対する影響要因として、業界に応じた様々な特記事項がある。PESTで表される法規制や技術などが例として挙げられる。しかし、ここで1つ注意しなければならないのは、PESTを使って分析するにしても、項目の取捨選択が必要だということである。例えば、法規制のあまりない業界において、市場や業界に影響を及ぼさない法令をいくら探しても、何の役にも立たない。PESTを使う際にも、「この業界には一体何が影響を及ぼすのか」ということを念頭において分析項目をピックアップするべきである。