事業戦略の策定-顧客を明確にする

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「顧客は誰か」があいまいでは戦略を立てることはできない。これまで何度も触れてきたが、「戦略」とは誰かと戦って勝ち抜くための策略であるから、戦う相手が誰であるかを明確にならなければ意味がない。また、戦う相手が存在するということは、そこに市場が存在する、または、将来有望な市場を作り出す魅力があるということである。それにはまず、顧客の集合体である市場を定義しなければならない。

 例えば、リーダー企業といえどもフルラインで市場をカバーし、しかもすべての顧客に対して高い顧客満足を提供し続けるのは無理がある。それは、どんなに巨大な企業でも、全世界の市場をカバーすることは不可能であるという事実をみれば明らかであろう。つまり、市場はどのように定義するかで、規模も違ってくるし、時代と共に変化するので、自社の経営資源の質量によって、セグメンテーションすることができる。

 市場を選定するにあたって、まず分析しなければならないのは、どのような軸でセグメンテーションするかである。例えば、自動車でいうと、「トラック」と「自家用車」という切り口が考えられる。自社ではトラックは製造した経験がないので、この市場ではライバル企業と戦うのは無理がある。そこで、自家用車に限定して、その「使用目的(実用レジャー)」を横軸にとり、縦軸に「価格(低い⇔高い)」をとる。

 セグメンテーションする場合の縦軸「価格(低い⇔高い)」と横軸「使用目的(実用⇔レジャー)」のグレードを設定する場合、あまり大まかにすると、市場の特徴がつかみにくくなり、セグメントする意味が薄れる。反対に小さく設定すると市場規模が小さくなり過ぎ、定量目標としては適切ではなくなる。しかし、セグメンテーションする場合の縦軸・横軸のグレードの決め方には、定石があるわけではないので、結局は、どんな顧客にどんな価値を提供したいかということが中核となる。

 そもそも、セグメンテーションする場合、顧客が個人であるとは限らず、企業や団体(国地方など)であることもあり得る。さらに、もう一方の軸も、価格の高低である必要はない。要は、顧客が何を求めているか、そして、自社はそれにどれだけ応える資質あるいは容量を保有しているかで、セグメントの切り口を設定することに価値がある。つまり、セグメンテーションの軸と規模の組み合わせを選択すること自体が「戦略」であるわけである。

 セグメンテーションを経て、狙うべきターゲットが定まれば、あらためて、そのポジションにおける自社の目標達成に向けて、どのように戦うべきか、そして、競合企業の戦略はどのようなものなのか、あるいは戦略グループの特徴は自社と比較してどのような点が優れているのかなどを洗い出すという戦略のデザインに進むことになる。すなわち、ここでのテーマである「顧客を明確にする」という段階においても、任意に顧客を選定するのではなく、「どんな価値を提供しようとしているのか」を意識しながら進められるわけだ。