《(3)ターゲット顧客分析》
利益率の高い製品を購入する顧客が多いなど、顧客が魅力的な場合、各プレーヤーが保有する顧客も競争力になる。とくに、その顧客に対してスイッチングコスト(乗り換えコスト)が働くときには、顧客を囲い込めることになるので、強みとなるわけである。先に分析した需要・ニーズでは、現在の顧客セグメント別需要に占める、各社のシェアを分析した。どのような顧客を各社が保有しているのかを明確にするわけだ。
データを構築するにはアンケートなどが必要であるが、それが難しいようであれば「シェア高、シェア低」などの定性的情報でもかまわない。次に、「需要予測」と「各社シェア」を比べてみてみる。将来の需要が落ち込んでいるところでシェアが高ければ「弱み」、シェアが高ければ「強み」となる。逆に、将来の需要が増加しているところでシェアが高ければ「強み」、シェアが低ければ「弱み」となる。
この消費財業界の例を見ると、「高所得子持ち世帯」に関してX社(自社)は「低価格・高価格帯」製品でトップ企業には劣るものの、強みとなる顧客基盤を有しており、「中価格帯」製品では弱みとなる顧客基盤を有している。ただし、現状で優良な顧客を保有しているからといって、必ずしも今後も競争力を保ち続けられるとは限らないので、求心力を増強するために、何らかの対策を講じる必要があるだろう。
《(4)製品・サービス分析》
ベンチマークの最後のプロセスは、「製品・サービス分析」である。ここでは、「マーケティングの4Pを用いて比較・分析する。製品・サービス(Product)そのもの(品質、形...)や価格(Price)については、「顧客の現在・滞在ニーズに合致している」ことが競争力の条件となる。プロモーション(Promotion)については、「顧客のニーズに合致した訴求」や「ターゲット顧客に合致したメディア利用」などが競争力の条件である。チャネル(Place)については、「ターゲット顧客に合致したチャネル利用ということが競争力の条件となる。
プロモーションやチャネルについて、さらに詳細に分析するのであれば、顧客購買プロセス「AIDMA(ATTENTION:注意、Interest:興味、Desire:要求、Motive:動機、Action:行動)」等を用いることも有益である。この消費財業界の例では、自社は「高価格帯製品」が強みとなっている。しかし、プロモーションやチャネルについては「高価格帯製品の将来にわたっての主要顧客である、単身世帯に対する訴求やチャネルを構築できていないということが弱みとなっている。
《KFSの抽出と充足状況を評価する》
これまでのベンチマークから、自社・競合の強みをすでに分析できたはずである。その各社の強みの中でも、とくに競争の源泉になっているものが「KFS(Key Factor for Success)」である。KFSの特定がなぜ有効かというと、「自社の強みの中でも本質的な強みを特定でき、活用の優先度が設定できる」「保有していないKFSを充足することで、新たな強みを得る可能性を入手できる」という2つの点が考えられる。
そこで今度は、どのようにしてKFSを抽出するかである。ここで有効なのが、VRIOフレームワーク利用することである。このフレームワークは本来強みを評価するものであるが、KFSの特定にも利用できる。つまり、のKFSは業界の優秀なプレーヤーの強みなので、VRIOとの相性は極めて良い。「売上・利益率にインパクトがある」「優良企業(シェア・成長性・収益性)のみを保有している」「模倣が困難である」というように項目を替えて、KFSを評価すると効果的である。