バリューチェーンとは、「製品・サービスを市場へと送り出すプロセス」です。すなわち、バリューチェーンが優れていれば、自ずとよい製品・サービスを市場へ送り出すことができると考えられる。そのため、各社のバリューチェーンごとの能力を比較することは、どの企業が優れているかを導き出す1つの手段である。各バリューチェーンにおける、評価は、研究開発、企画・プロモーション、調達、生産、物流、営業・販売などを分析候補として取り上げ、必要に応じて主な要素について掘り下げていく。
研究開発力では、高い開発力でよい製品を開発できるかどうかという「研究開発力」が必要である。企画・プロモーションでは、高い頻度でよい製品を発売できているか・効率のよい広告宣伝ができているかという「企画力」「販促効率」が必要になる。調達では、安くて品質のよい原材料を安定的に調達できるかどうかという「仕入効率」「安定調達基盤」が必要である。生産では、高い生産効率で十分な数量を生産できるかという「生産効率」「生産力」が必要である。
物流については、高い物流効率で物を運搬できるかという「物流効率」が必要となる。そして営業・販売では、効率よく多数の顧客を獲得できているか、効率のよいチャネルを押えているかという「営業力」「チャネル力」を見る必要がある。これらを詳細に分析するのであれば、具体的に各バリューチェーンの「業務プロセス」を分析したり、アウトプットされる「指標」を分析したりする。
それらを競合と比較するのが理想的である。競合の比較は、VRIOフレームワークが有効である。「経済的価値」「希少性」「模倣困難性」「組織適合性」という、4つの視点によって経営資源を分析していく(自社については詳細に分析できるものの、競合についてはどうしてもわからない部分が出てくることである)。
しかし、これは分析の限界なので仕方がない)。この消費財業界のバリューチェーン比較を見てみると、自社は、シェアを落としているものの、各価格帯にて品質の高い製品を開発でできており、希少性・模倣困難性のある研究開発力が本質的な強みであることがわかる。逆に、生産においては、他社ができているような低価格帯製品のコスト競争力が発揮できておらず、低価格帯製品の利益率が非常に低くなっていることから、生産効率に弱みがあることがわかった。
バリューチェーン分析において注意すべき事項が1つある。それは、「重要なプロセスを重点的に分析する」ということである。そのためには、どのプロセスが付加価値を生んでいるかを考えておく必要がある。例えば、顧客ニーズが高品質の製品となれば研究開発費は重要になるだろうしコスト競争による価格競争になっているのであれば、サプラチェーンが重要になるだろう。繰り返しになるが、こうした「仮説」をもってバリューチェーンを分析すると、分析点が明確になる。