前項で触れたのは、事業戦略の全体像である。本稿では前項の全体像を念頭に置きながら、事業戦略策定のプロセスを、①目的・定量目標の設定、②現状分析、③事業戦略の方向性策定、④フィジビリティスタディ、⑤施策策定~実行、という5つのステップで組み立てていくことにする。つまり、前項で触れたのは、どんな事業をしようとしているのか、そのためにはどんなことを考えなければならないのか、そして、それを組み立てる独自能力はどの程度保有しているのか、資源は調達できるか、などを漏れなく検討してきたわけである。
(1)目的・定量目標の設定
事業戦略策定における第一のステップは、その時点において何を達成したいのか、どのような業績を目標にやっていくのかなど「目的・定量目標」の設定を行うべきである。すなわち、この定量目標が「ゴール」となる。このゴールがブレてしまったり、曖昧な内容となってしまうと、何のための戦略なのか分からなくなってしまうからだ。戦略策定の旗印となる目的設定は5つのステップで最も重要な位置づけにある。
(2)現状分析
このステップでは、企業が属する市場や業界を分析したり、競合企業との比較を行うことで自社の競争力を測定する。つまり、競合企業との比較において、強みや弱み、外部環境(脅威と機会)などを整理し、事業戦略の方向性を決める基礎情報となる。ここの整理内容によって戦略の方向性が大きく変わるため、SWOT分析だけではなく、他の分析と組み合わせ何度も繰り替えして行う必要がある。
(3)事業戦略の方向性策定
このステップは、(2)で行ったSWOT(外部環境である事業の機会と脅威、内部環境である自社の強みと弱み)をもとに検討し、自社の事業の戦略方向性を定める。このステップにおけるポイントは、戦略の方向性は一つに絞り込むことではなく、複数(代替的)の戦略方向性を準備することである。なぜなれば、(4)で実施するフィジビリティスタディで複数準備した戦略の実現性、妥当性、効果をそれぞれ見極めていくことになるからである。
(4)フィジビリティスタディ
フィジビリティスタディとは、事業戦略の実現可能性を評価するものである。(3)で複数の戦略方向性を策定しているので、ここでは各戦略方向性のフィジビリティスタディを行って、自社にとって実現可能性を見極めるステップである。当然、最も実現可能性の高い戦略を選定することになるわけであるが、戦略の実現にかかる費用(投資額)、その効果、実現に向けて推進する上でのリスクを、机上でシミュレーションを行い、各戦略を客観的に評価することが重要となる。
(5)施策策定~実行