マッキンゼーの7Sとは、「企業には3つのハードな経営資源と4つのソフトな経営資源があると捉え、その7つの経営資源をもとに、個別の企業に最適な事業戦略を考えることができるフレームワーク」である。7つの経営資源から現状の組織戦略(目標と現状ギャップを埋める戦略)を考える。マッキンゼー社が考案したもので、経営者や組織改革コンサルタントなどに広く用いられている。
組織変革に取り組む際、戦略や組織といった「ハード」と人材やスキルといった「ソフト」の両面から見て改善を図ることが今では広く普及しているが、この7Sが提唱された当時は、組織の戦略や構造などのハードのみを見直すことが、主な解決方法であると考えられていた。この7Sの発案者の一人であるロバート・ウォータマン氏とトム・ピーターズ氏の二人は、自社内外の協力を得て調査研究を進めたところ、当時の主なやり方であった構造、戦略、システムといったハードだけでなく、スタイル、スキル、スタッフ、そして上位目標(現在の共通の価値観)というソフトを合わせた7つの要素の関係を見てマネジメントすることが重要であるという結論にいったものだという。
この7つのS要素が図として表現されたものが「マッキンゼーの7つのS」と呼ばれるものである。7Sでは、ダイアグラムの形そのものが重要な役割を持つと言われます。共通の価値観こそ企業の基礎的概念なので中心に描かれているが、このダイアグラム(省略)には始点がない。どの要素も組織が抱える課題要因となりえるため、始点が存在しない形をとっている。
というのも、組織が置かれている状況や求める理想の状態によって、要因が戦略の場合もあれば、システムや構造が問題の場合もあるためである。また、それぞれの要素が他の要素と線でつながっているが、これはその要素が問題の要因であると特定された場合でも、その一つだけを見て対策を講じるのではなく、その要素と線でつながっている他の要素も必ず見る必要があるためだ。
要素ごとにつながっている線は相互関連性を表し、この関連性を無視して一つの要素だけに変革をもたらそうとするとことは組織にとって危険であり、企業が戦略などを導入する際に約90%がうまくいかず失敗に終わる理由として、他の要素に注意を払わず生まれている可能性があるということである。つまりこの7つの要素は大なり小なり、お互いに影響しあいながら、組織や戦略を動かしているわけで、その中の特定の一つを改善しただけでは、全体最適にはつながらないといことを意味している。その7つ要素は以下の通りである。
《7Sモデルの各要素》
①戦略(Strategy):ある一定の目標を達成するために立てられる企業の限られた財的・人的資源の配分を目的とした一定期間の計画ないし行動方針
②構造(Structure):組織の仕組みの特徴(機能的である、分権化されている、など)
③システム(System):一定の報告パターン及び会議形式のようなルーティンな方法
④スタッフ(Staff):企業内の人員を職種・特質別に分類・配分すること(例えばエンジニア、企業家型、管理のプロなど)。ライン対スタッフといった意味合いではない
⑤経営スタイル(Style):経営幹部が組織の目標をどのように達成するかという特徴、および組織の文化特質
⑥経営スキル(Skills):経営の中心人物ないし企業全体の持つ顕著な能力
⑦上位目標(Superordinate Goals/Shared Value):組織がその構成員に植え付ける理念あるいは指標となるような概念{「価値観」(Shared Value)}。
※ ①~③のSはハードなS:目に見えやすい、短時間で構築/変更が可能
④~⑦のSはソフトなS:目に見えにくい、構築/変更に時間がかかる