戦略を実現する組織-組織と戦略の関係(3)

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 戦略とは何らかの目的を達成するための筋道であるから、戦い場や競争相手が存在しなければ戦略自体も必要ないことになる。つまり、戦略を練るということは、「誰と」「どこで」「どのように」戦って、目的を達成するかを企画する企てである。だとすれば、その戦略を成功させるには、どのような資源が必要か、どれくらいの資金が必要か、どんな能力を持った人材がどれくらい必要かが課題として浮上することになるはずだ。

 そしてもう一つの大きな問題は、戦略を遂行する組織を作り、これをマネジメントすることである。「どんなに優れた戦略でも、実行する仕組みが相応しいものでなければ、戦略は単なるお題目」に過ぎないものになる。また、「どんなに優れた組織があっても、戦略がなければ、組織自体が無用の長物」ということになる。だとすれば、「戦略と組織」を「卵と鶏」のような議論で解決しようとしてもあまり意味がない。

 戦略にマッチした組織、あるいは組織にあった戦略で経営目的を達成する場合のいずれであっても、組織にマネジメント力が備わっていなければ、組織は暴走してしまい、組織の既判力も失われるので、目指すべきビジョンは置き去りになってしまう。企業経営は、基本となる理念に基づいて、目指すべき達成目的が設定される。これを達成するための道筋が戦略であり、それを効果的に実践するのが組織の役割である。

 よく巷で聞かれるのは、「戦略がダメであれば、どんなに組織が優れた戦術を使っても戦いに敗れてしまう可能性が高く、やはり戦略が重要だ」という議論がかわされる。しかし、これまで見てきたように、良い戦略には、よい仕組み(組織)が必要不可欠であり、どちらが欠けても成果が期待できないというものであった。となれば、やはり、組織も戦略も市場環境の変化に対応しきれなくなっていると見るべきではないだろうか。

 戦略が重要であることは論を待たない。しかし、戦略は、それを遂行する組織力を抜きにしては語られない以上、優れた戦略は組織のキャパシティを超えたものであれば、実行計画も絵にかいた餅な過ぎないものになる。つまり戦略の生みの親である組織を本来の機能を取り戻す改革から入らなければ、犯人探しが延々と繰り返されることになる。となれば、やはり経営組織の長たるトップマネジメント出番である。

 バーナードは、組織とは3要素をもっている。その要素とは、①共通の目的、②構成員がお互いに協働する意思(協働システム)、③情報共有のための円滑なコミュニケーションの3つである。この要素が欠けていないか、不十分でではないかをしっかりマネジメントできなければ、戦略・戦術を効果的に遂行できない。さらに、組織は戦略・戦術に合わせて変革しなければならない。もちろん、そうした場面でも組織の3要素が目的達成に向けて連携していることが前提である。