戦略を実現する組織-組織と戦略の関係(1)

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多くの場合、新規事業の開始時や会社設立時には戦略と組織について同時に議論される。しかし、既存事業では、多くの企業では戦略だけをとうとうと議論したり、逆に何をしたいのかがあいまいな状況のままで組織をただいたずらに変えたりしている傾向が見受けられます。過去の右肩上がりの経済成長時代では問題はなかった。しかし、今後はこのような時代が戻ってくることは期待できないだろう。

そのうえ、企業を取り巻く競争環境はさらに激化し、顧客の価値観は多様化し、顧客ニーズや技術の変化のスピードはますます加速し、経営のかじ取りの難しさが増している。このような厳しい経営環境のもとでは、戦略に合う組織、組織に合った戦略で臨まないと企業としての存続・成長は困難である。今一度、戦略と組織の関係について整理してみる必要があるように思われる。

「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」は、簡単にいえば、戦略が組織に先行するのか、組織が戦略に先行するのかの違いである。サッカーやラグビーなど戦略的・組織的に戦うスポーツでは、戦略と組織がバラバラでは個々の選手の能力が高くても勝利することは困難である。サッカーでいえば、勝つために必要な攻撃重視、守備重視などの戦略が先にあって、それを実現させるためにふさわしいフォーメーンション(組織)を考えるのが「組織は戦略に従う」である。一方、攻撃能力に優れた選手が多いので攻撃的なフォーメーンションで、守備をおろそかにしても攻撃的に点をとる戦い方(戦略)を採用するという考え方が「戦略は組織に従う」である。

チャンドラーは、当時のアメリカを代表するトップ企業4社(化学企業のデュポン、自動車企業のGM、石油企業のスタンダード・オイル、小売業のシアーズ・ローバック)の詳細な戦略・組織研究の結果から導き出した命題が「組織は戦略に従う」である。これらの4社が多角化、国際化して大企業に至った過程で組織がどのように変化したのかをチャンドラーは実証的に研究した。

その研究結果として、多角化、国際化という経営戦略を効果的・効率的に成功させるには事業部制という組織が必要で、事業部制を機能させるために必要な本社機能の役割を導き出した。組織は何のために存在するのだろうか? 組織は組織が属するトップの戦略目的を達成するための手段として存在する。組織は存在することが目的ではないので、組織をどうするかは、まず戦略が先行しなければならない。そして、変化する環境に適応する戦略を策定し、その戦略を実行するために最適な組織にしていかければならないというのが「組織は戦略に従う」である。

事業部制は、一定の規模以上の企業に適した組織構造であるが、「組織は戦略に従う」の命題は、すべての企業が戦略と組織を考えるときに考慮しなければならないことである。なぜなら多くの企業が、業績が悪化すると人を含む組織のせいにして、戦略抜きで組織を変えようとするからだ。一定のショック効果はあっても本質的な組織改編ではないため効果を発揮できない。そこでは組織が手段であって、それぞれの企業の戦略に従って決めなければならないという基本が忘れさられている。