構造化とは、複雑に絡み合う事象を要素分解し、各要素間の関係を明確にすることにより、全体像を理解する手法である。環境分析を行うに際しても、情報を適切に分解し、要素間の関係性を把握する必要がある。具体的な手法としては、ロジックツリーが使われることが多いが、各要素のレベルをとり待ちがいたり、ダブってしまったり、あるいは漏れてしまったりすると、事象を構造的に捉えられないため、不十分な意思決定をしてしまうことがあるので、ロジックツリーによる分析を行う場合は、常にこれらを意識するようにしたい。
論理的思考では、漏れなく考える必要があるというのがこの方法の根本である。モレがなくダブリもないのは、論理的思考では最も重要なことであると同時に、ゴールに導くための展開にようする時間やスペースに限りがある以上、できるだけ簡潔で解りやすく、しかも矛盾のない論理の積み重ねによって完結される必要がある。こうした場合、よくもちいられる方法が、枚挙法つまりMECEである。例えば、話の内容を3つに絞り込んで話すとか、あるいは、業界がおかれている状況、地域の同業他社の状況、当社の状況というように範囲を区切って、全体をモーラ的に説明する場合などがそれである。しかし、これですべてがモーラされているとはとても考えにくい。
論理がMECEで一貫性があると判断するのは、これを受け入れる側あるいは対象者であって、論理展開者ではないので、どのレベルのテーマ空間の話なのかを共有できる雰囲気がなければ、話はかみ合うはずがない。つまり、MECEであると客観的に判断できるのは、どれだけ踏み込んで考えたかを知らしめる方法なのである。
わが社の社員とか、市内の小学校の児童数といった客観的にカウントすることが可能な対象についての議論であれば、MECEに捉えることができるが、これから生まれる子供の男女比率などを土台にした議論をMECEに説明するのは不可能である。こうした場合には、やはり、起こりえる可能性をケースとして捉える方が妥当である。
このように考えると、MECEはあまり役に立たないと言っているように聞こえるかもしれないが、決してそうではない。ものごとを論理的に説明し、相手を納得させるには、起こりえるケースごとに矛盾を解きほぐし、賛同を得るという方法がとられる。新製品の開発に関する提案なども例外ではなく、そうしたプレゼンテーションには向いている。
すなわち、MECEであるかどうかは、言葉尻をつかまえて網羅的ではない、特殊なケースには当てはまらないといった反論に対して、次善の策を用意しておく場合に役立つ。つまり、そこまでは考えなかったということで、論理的思考ではないと結論づけられてしまうことに対しては、一種の防衛策としても役立つ方法である。
例えば、マーケティングで4P(Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Prom
otion(プロモーション)のようなフレームには、MECEの考え方が適用されている。しかし、この場合でも、構成要素が必ずしも4つでなければならないということではなく、自分の論理構成に合わせてアレンジすることはあり得る。ただし、ある事象について語るわけであるから、取り上げた要素がふぞろいであると相手を納得させることができない。