因果関係と相関関係

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
 

 因果関係を把握するとは、ある事象の「原因」と「結果」を把握することである。表層的な事象だけで判断したのでは、適切な戦略を構築することはできない。しかし、収集したデータを分析しただけでは、因果関係があること特定することは難しく、相関関係を因果関係と誤認してしまうことがあるので注意が必要である。よく誤解されるのは、商品が売れないのは営業担当者が「やる気がない」とか「能力がない」といったものがある。

 しかし、営業担当者にやる気を起こさせたり、能力のある者を営業担当者に登用すれば必ず売れるという結果が保証されているわけではない。そこには、市場のカバー率、商品自体の品質、あるいは景気動向、異常気象などが原因している可能性もないとはいえないことを考えれば、因果関係で説明できないことになる。こうしたことを誤認して、営業戦略を構築したとすれば、論理的に展開したとはいえないだろう。

相関関係も因果関係も相互の関係に着目しているという意味では変わりはない。しかし、相関関係が認められるからといって、因果関係があると勘違いしてしまうと、大変なミスリードになってしまうこともあるので気をつけなければならない。因果関係があれば必ず相関関係はあるが、その逆は必ずしもあるとは限らないということである。

例えば、Aデパートでよく売れている商品は、Bデパートでもよく売れているし、Aデパートであまり売れていない商品は、Bデパートでもあまり売れていないといった場合、デパートという営業形態の特性によって消費者の商品選択のしかたが類似しているだけで、一の方変化によって、他方が変化するという因果関係にあるわけではない。

ここでは、デパートという第3の要因が両方に同じように影響している結果である。一方、広告の投入量を増やせば増やすほど売上が増加するといった場合、広告投入量と売上高との間には、明らかに因果関係があると考えられる。2変数の関係が単純な相関関係にあるものと、原因と結果の関係にある因果関係とは分けて考えなければならない。

少子高齢化なども然りで、出生率が低下したのが原因で高齢者が増加したわけではなく、その逆でもないが、統計的に見ると逆相関(負の相関)があるが、これらの関係は因果関係では説明することはできないが、気温の上昇とビールの消費量は、同じように相関関係にあるが、原因と結果の関係にあると認められるので因果関係がある。

また、成績のよい子は朝食をきちんと取っているが、そうでない子供は成績が芳しくないという調査結果があるが、この場合、朝食で摂取する栄養自体の問題なのか、それとも、家庭環境に問題があるのかは明確には判別がつかない。ここには、隠された第3の因子が働いていることを見過ごしてしまうと、適切な対応策は打ち出せないことになる。

 現実の経営問題では、因果関係が明確に認められるということはむしろまれであることを考えると、確かな原理や法則から結論を導き出す演繹法、観察された事柄から何らかの法則を導き出して根拠とする帰納法により結果を見つけるのが現実的である。いずれにしても、客観的な事実に基づいて議論を重ねていく論理思考が不可欠である。隠された第3の因子を見つけ出すのも、論理的思考法の力を借りるしかない。