経営戦略は大きく分けると、競争戦略と成長戦略に分けられるが、まず、自社がマーケティング展開している市場を前提にして戦略を考えるとすれば、市場の状況をよく観察してみることが先決である。すなわち、拡大路線か縮小路線かを決定するために市場の状態を把握することで設備投資やシェアの拡大などへの資源配分が異なってくる。もしも、市場が拡大傾向にあると読み切れるのであれば、市場が成長するスピードよりも自社の成長力を加速させ、フルライン化や開発投資の積極化により、シェアの拡大を目指すことになる。
その逆の場合は、商品のラインナップを縮小し、必要最小限の利益を確保できる程度に縮小するか、あるいは、場合によっては撤退することも視野に入れる。 まず、こうした基本路線を明らかにした上で、今度は市場を細分化して、限定的ではあるが拡大傾向が見られる市場に着目して事業ごとの戦略を設定することになる。近年は技術革新の進展がめまぐるしいので、判断を誤ったりタイミングが遅れたりすると投資額が回収できない事態に陥ることもあるので、意思決定は迅速であることが鉄則である。
いずれにしても、量的拡大路線に拘っている時ではないことは近年の変化を見れば察しが付くであろう。拡大路線を選択するにしても、新規の設備投資はリスクが大きく、一旦投資したことにより、戦略の転換に遅れを来たすことになれば、負の遺産の整理に手間取り、見きり発射をするにしても埋没コストが重くのしかかる。今日話題のTPO戦略などは、正にこうした先進企業のアケレス腱を狙った戦略とみられる。
ブルーオーシャン戦略などもこれに類する戦略と見られるが、消費者の真のニーズを掴むことなしに業績を伸ばすことは不可能であるのは自明の理である以上、小さな市場を見つけ出し、大きく育てる戦略を中核に据えなければならない。競合企業の動向に目を奪われ、市場の変化に気がつかなければ戦略転換のチャンスは永久に見つからない。中小企業の多くは市場の変化に目をそむけ、投資コストの回収と目標利益の確保に奔走している。
工業社会から知的経営時代に移って久しいが、これを認めようとせず、これまで蓄積してきた経営資源を食いつぶしている姿は痛ましい。 経営戦略を策定するためには、まず自社の経営資源を棚卸してみることから始めるのがセオリーであり、この時に用いられるのがSWOT分析である。この分析では、自社の経営資源が生かせる市場(顧客ターゲット)を意識してのものであるから、環境変化への配慮は不可欠なものである。
これを見誤ると投資額が回収できない事態にもなりかねないが、中小企業に限らず、多くの企業が環境変化のトレンドを見誤り、身動きができない状況に陥っているが、そのツケを払わされるのは他ならぬ企業自身であるため、他人がとやかく言う資格はないし、実際に技術革新により顧客の心離れに会い、同情に値するような場面もしばしばある。それだけ環境の変化は目まぐるしいとも言えるわけである。
しかし、こうした誤りは、SWOT分析に問題があったというよりは、分析の視野を自社の生存領域に絞り込んでしまったことに原因がある場合もある。ミクロの分析は、比較的短い時間の経過を対象にするので、市場のニーズにフットすれば、それだけインパクトは大きいかもしれないが、大きなうねりに着目する姿勢も必要である。マクロ分析は、文字どおり時代の変化を捉えるものであるから、小さな変化を読み取る分析ではないが、将来の事業活動に影響を及ぼす可能性のある要素を把握しておくことは最低限必要である。