予測不能性{4.相手の無作為に頼ってはいけない理由}

 

 もし、当事者の片方が自分にとって最善のミックスを使えば、相手がどのような動きに出ようと成功率は変わらない。例としてテニスのケースのレシーバーを考えてみよう。サーバーは、サーバーにとって最善のミックスである4060を使うものとする。そのときレシーバーはフォアハンドへ動こうがバックハンドへ動こうが、あるいはその二つをどのようにミックスさせようが、リターンの成功率は48%である。

 このことをかんがみて、(レシーバーは)自分の最善のミックスを計算するのを省き、どちらか一つの動きに決め、相手が相手の最善のミックスを使うのに頼ろうと思うかもしれない。しかし、そこで問題となるのは、もし自分が自分の最善のミックスを使わなければ、相手側は最善のミックス使う理由がなくなることだ。例えば、サーバーはレシーバーがフォアハンド狙いに切り替えてくるだろう。自分が自分の最善のミックスを使わなければならない理由は、相手に相手の最善のミックスを使い続けさせることにある。