ケース・スタディ{その10 ベイ・ブリッジ パートⅡ}

 

 オークランドからサンフランシスコへ渡るベイ・ブリッジは、7時半から11まで毎朝混雑する。その時間帯は車が新たに1台わたるごとに、後からくる車は橋を渡る時間が少し長くかかる。この状況は混雑が解消する11時まで続く。1台が加わることによるコストの正確な値は、それによって遅れる車の追加的待ち時間を合計したものである。さて、9時に橋を渡る車が1台加わることによる追加的な待ち時間の合計はいくらか。

 これだけでは情報量が少なすぎると思うかもしれない。ところが、この情報だけでこの問題は解くことができる。橋のたもとの料金所に並んでいる車の数や、9時以降に来る車の分布状況を知る必要はない。渋滞の長さが一定であろうと変化しようと答えは同じである。

 

《ケース・ディスカッション》

 ここで重要なことは、追加的時間の合計であり、だれがどれだけ待ったかというのは問題ではない(もちろん、渋滞に巻き込まれた人の時間価値に応じて、待ち時間にウエイトづけをするという問題も作りうる)。追加的待ち時間の合計を求める最も簡単な方法は、各車の追加的待ち時間を全部1台の負担に移し変えることだ。新たに加わる車が9時に、橋を渡る代わりに橋のたもとの道路わきで待機し、他の車を先に行かせると想像してみよう。

その車が順番を譲ることで、他の車には追加的な待ち時間が発生しなくなる。もちろんその車は、混雑が解消するまで2時間待たねばならない。この2時間は、その車が脇で待機せずに橋を渡ろうとしたときに他の車に与える追加的な待ち時間の合計と全く同じものである。そして、追加的な待ち時間の合計は、待ち時間の分布状態には関係なく一定の値なる。したがって、新たな車が追加的な待ち時間を全て引き受けると考えのが最も簡便な方法である。