プレーヤーが交互に行動し、有限回数の選択で決着のつくゲームでは、理論的には、すべての選択可能性を検討することにより、必勝法を見つけ出すことができる。実際には、チック・タック・トーでは比較的容易に必勝法を見つけられるが、チェスでは(現在のところ)不可能である。以下に紹介するゲームは、必勝法は解明されていない。しかし、それがわからなくとも、必勝法が存在するのであれば、それは先手の必勝法だということはできる。
ゼック(ZECK)は二人で交互に点を消し、最後の点を消した方が負けというゲームである。ゲームは長方形に並べた点で行うが、たとえば、7×4型であれば図(省略)のようになる。各手番でプレーヤーは一点を消す。そのとき右上側にある点は全て同時に消される。もし、最初のプレーヤーが第二列の四番目の点を消せば、その結果残るのは、一行目、二行目の三列のみということになる。
各手番ですくなくとも一点は消さねばならない。最後の一点を消さざるを得ないプレーヤーが負けになる。片側が2点以上の点からなる長方形であれば、どのような形であっても最初のプレーヤーには必勝法があるに違いない。しかし、その必勝法は現在のところ解明されていない。もちろんすべての可能性を検討し、ある形のゲーム用(例えば7×4型)に必勝法を見つけることはできるであろう。しかし、どのような長方形に対しても当てはまるような必勝法はわかっていない。それでも必勝法が存在するならば、先手側の必勝法だとどうしてわかるのだろうか。
もし後手のプレーヤーに必勝法があるとすれば、先手の第一手がどのようなものであっても、後手を勝利に導く次の一手があるはずである。さて、先手が第一列右端の点を消したらどうなるだろうか。後手がどのような手で対応しようとも、その手の結果生まれる形は、先手が第一手目に作り得たものである。もしこれが本当に必勝法なのであれば、先手が第一手目にその手を取ることによって必ず勝つはずである。先手が作れない形を後手が作れることはあり得ないのだ。