動機づけマーケティング実践の前に時間をかけてやるべきこと

 

これまで学んだ知識を基にして、さっそくビジネスを分析し直し、物事を変化させる作業に取り掛かりたいところだろうが、その前に、少しだけ時間をとって、これまでの自分のやり方がどれだけ成功を収めてきたかを振り返ってみてほしい。これまでの消費者についての理解に基づいたマーケティングは、消費者の内なる動機づけにどれだけ語りかけていただろう?

自社のブランドがこれまで消費者に送ってきたメッセージの中に、どれだけ消費者の深い感情を満たす約束が含まれていただろう? ブランドが成功するには、それだけの理由がある。多くの場合、その理由には、何が消費者に動機づけを与えるかについての直感的な理解が含まれている。

 

自分のブランドの現状を徹底的に見直したら、優れたビジネスをさらに良くするための最初の数歩を踏み出してほしい。

  1. 消費者を新たな目でもう一度しっかり見直してみる。あらためて質的または量的な調査を実施してもいいし、最近実施した調査を丁寧に見直してみるだけでもいい。消費者が実際に自社の製品を使っているときに、この本で学んだ願望と不満のうちどれが働いているかを考え見よう。

  2. 消費者に送っている製品に関するメッセージについても、同様にしっかり見直してみる。広告や販売素材で明確に提示しているメッセージだけでなく、パッケージデザインや、製品に含まれているその他の感覚的要素でそれとなく伝えているメッセージも含む。

     これらのコミュニケーションを通じて得られる消費者の感情的メッセージを読み取るように努め、自社が送るメッセージのコンテンツを消費者が本当に望んでいるものに近づける方法を考えてみる。

  3. メッセージのトーンやスタイルについても考える。もし自社の製品が本当に内発的動機づけを満足させるものだと考えるのであれば、メッセージは明らかなものも、さりげないもの、その製品を使うことで消費者が自分自身をどう感じるようになるかを伝えなければならない。

     対照的に、もし自社の製品が対人的な動機づけを満足させるものであれば、メッセージは、消費者の周囲の人たちが彼らについてどう考え、どう感じるかに集中した方がいい。

     同じように、自社の製品が人生の可能性を広げるものだと思うなら(マトリックスの最初(いちばん上)の行にあるような動機づけ)、将来の約束に集中するのがいいだろう。

     そして、自社の製品が優れた結果を得ることに最も役立つようなら(マトリックスの3番目の行の動機づけ)、その具体的な結果を示す必要がある。

  4. 製品の動機づけマーケティングについて、どんな決定をするにせよ、動機づけへのコミュニケーションを実行するには十分な考慮が必要になる。通常、感情への約束は、明らかなメッセージよりさりげないメッセージの方がうまく伝わり、しばしば文章よりもイメージの方が効果的に伝わる。

     そして、それがうまくできるようになるまでには、何回か試行錯誤が必要かもしれない。誇張や単なる感傷に頼ることなく、消費者の感情的な反応を引き出さなければならないからだ。

     優秀なクリエィティブ・エイジェンシーを見つけて、協力してもらうといいだろう。その時には、彼らが消費者の感情について自社と同じ考えを持って仕事をしてくれるかどうかを必ず確かめるようにしよう。