人間が発達させていく関係性の中で、自分自身との関係ほど重要なものはない。内発的な動機づけが全ての研究の入り口になるのはそのためである。自己を周囲の世界から切り離す能力を身につけることは、発達初期段階の重要目標で、これから人生に自分を位置づけ、その世界との関係、他者との関係を見出し、形成し、ポジティブな関係を築いていく。
原因と結果、行動と反応、内面と外面など、世の中の働きについての基本的な考えを持つ以前に、まず、自分と自分以外のものを区別する能力を持たなければならない。この区別ができてはじめて、私たちは自己イメージを守り、理解し、進化させ、表現し、改善するという生涯の取組みを始められる。この重要な自己認識は内発的動機づけに分類される。
良くも悪くも、自己との関係はあらゆる面で私たちの世界観の基礎を形作り、世の中が私たちのことをどう見るかにも大きく影響を与える。全ての行動は何かしらの自己表現をするものなので、内発的動機はあらゆる状況で、世の中とどう関わっていくかに重要な役割を果たす。つまり、私達が一瞬一瞬に表現する自分の好み、スタイル、価値観を形作る。
被との認識能力が幼いうちは限られていることを示す証拠として、身近な例となるのが、鏡を使った実験である。赤ん坊の鼻の上にほんの少し化粧品を塗って鏡の前に連れて行き、何が起こるか観察する。ごく小さな赤ん坊は、何が写っているか自体が解らず、自分のいる場所から見える範囲にある何かとして、多少の興味を示すだけに終わってしまうだろう。
それが1歳半から2歳になると、興味深い変化が起こる。幼児はついに自分を認識するようになる。この時点で、鏡の中に見える赤ん坊が、自分自身だと気づき、鼻の頭についているものを取除こうとして鏡に手を伸ばす行動を取る。この例はとてもシンプルながら、人間ならだれでもたどる内面世界への旅の最初の到達ポイントとして、深い意味を持つ。
この段階から、自己認識はとどまるところなく進化を続ける。7歳から8歳になると、子どもは自分が人とはちがう感情や能力を持つ特別な存在なのだと理解できるようになる。このぐらいの年齢になると、自分自身を目に見える身体的特徴だけではなく、もっと精神的で抽象的な、人格を表す特徴を見つけて、正直だ、優しいなど表現ができるようになる。