マーケターにとっての動機づけの役割

 

 消費者が下すすべての購買決定には、その裏で動機づけが働いている。つまり、動機づけは売買取引を成立させる。消費者の願望を動機づけという特別な感情エネルギーに変え、彼らに行動を起こさせるには、まず、刺激を与えなければならない。いまこそ「それを手に入れるときだ」と消費者を説得し、行動を起こさせ、変化へと手を伸ばすように導く。

 次には、私たちが製品やサービスによって、彼らの夢をつかむための絶好のチャンスを与えられると信じてもらう必要がある。その仕事の本質を考えれば、マーケターは「インスピレーション開発者」と呼ぶに相応しい。なぜなら、私たちは消費者の願望を実現させるか、不満を解消させるかで人々を動かし、夢へと向かわせる仕事をしているからである。

 消費者が本当に望んでいることは何なのかを理解し、消費者の製品への関心をその根っこの部分まで掘り下げて考えるには、人を動かす願望の力を理解しなければならない。その理解が、マーケターが競争相手に一歩先んじるための洞察力を生み出す。消費者が自らを語りだすように導くにはどうしたらいいのか?それを解き明かすことがテーマである。

 成功する動機づけマーケティング戦略を考案するにはどうしたらよいのだろうか?それにはまず、次の2つの疑問を解決しなければならない。一つは、消費者を決断と行動に駆り立てる動機づけの感情の中で、自社の製品カテゴリーと関連したものにはどんなものがあるだろう?もう一つは、その中で、自社製品が特に満足させられる感情はどれだろう?

 自社製品のカテゴリーと関連した動機づけの感情すべてを把握し、特定の製品が最もよく満たすと思える動機づけを選んだら、いよいよ行動開始である。動機づけマーケティング戦略の考案に取り掛かることになる。しかし、そう簡単にはことは進まないのが常である。そこで登場するのが動機づけを体系的に捉えたマインドサイト・マトリックスである。

  このマインドサイト・マトリックスは、自社製品が与える感情的満足が、どこで消費者の感情的な関心と交わるかを目で見える形にしてくれる、人間の動機づけを体系的にとらえた対照表である。すなわち、マーケ   ティ  ング戦略の地図のどこにいるかを理解するために、本書の著者たちによって開発された「マーケティング戦略のロードマップ」である。