脳に効果的にアクセスできるマーケティング・メッセージ

 

マーケターは市場にメッセージが溢れ返っているとよく言うが、実際にはそれでも半分でしかない。氾濫するマーケティング・メッセージは、現在社会で私たちを取り巻くたくさんの刺激のほんの一部でしかない。だからこそ、その一部であるマーケティング・メッセージは、瞬時に直感レベルに訴えかけて感情的フィルターを通過できなければならない。

そのメッセージは、ポジティブな感情的経験を約束するものでなければならず、コアの感情的動機づけのどれかを動かさなければならない。そうしなければ、他のメッセージに負けてしまう。こうした状況は、私たちが出会う全ての刺激に当てはまる。ほぼ連続的に行われるこうした感情的評価プロセスはたいがい本能的なもので、昔から変わっていない。

原始的な物々交換の時代から、「製造業者」は先を争って製品を改善し、驚くようなペースで新しい製品を発明してきた。彼らは、人が何を望んでいるのか、その合図や兆候を常に追っていた。もちろん、消費者が本当に求めているものの背後にある秘密を解き明かすことは、動機づけ理論と感情研究の領域であり、これこそが本書の求めている目的である。

原始時代には、エネルギーのすべてを生存の一点に集中させていて、食料、安全、避難場所を求め、生殖本能に従って生きてきた。やがて定住する住居を建てるようになると、そこは改善できる空間になり、財産を残せる場所となった。こうして、人々は品物の重要性が増すにつれ、自分たちが自由な時間と必要以上の物を持つようになったことに気づく。

このプロセスの始まりが最初の「製品」の基礎となり、生産技術が発達するにつれ、余剰となった製品を物々交換する取引が盛んになっていったと考えられる。そこでは、自分の製品が優れていることをアピールする必要が生じ、これがマーケティングと広告の原型となった。つまり、市場で勝ち残るためには、消費者を納得させる力が必要となっていった。

 こうして、製品の作り手は消費者の持つ願望や希望に近づけるか、不満や恐怖から遠ざけるようなものを提供することに力を注ぎ、これが「ブランディング」という考え方を生み、特殊化、イノベーション、口コミによる宣伝に後押しされた幸運な職人たちは、評判を築き、徐々に地域全体、村全体が数少ない優秀な製品を作る専門家の集まりとなった。