マーケターとして、消費者が自分では気づいていない感情的な動機づけを理解しようと思うなら、これまでのような質問に答えてもらうだけでは必要な情報は得られない。ビジネスプロセスを消費者の感情的ニーズと欲求に合わせ、消費者の潜在意識にある感情的動機づけに訴えるためには、こうした動機づけを解き明かして、理解しなければならない。
この本では、消費者リサーチのやり方を改めるため、リサーチを進めるうえでの障害に目を向け、それを克服するために現在使われているいくつかの代替方法について概観している。その方法の一つが、この本の著者ディヴィド・フォーブスが同僚とともに開発したツールの一つ「マインドサイト」であり、これが本書で訴えているコンテンツである。
これは、消費者の潜在意識にある感情との対話を始められるように、効果的な感情的イメージをすばやく送り出すという方法を使っている。動機づけリサーチと動機づけマーケティングの問題のひとつとして、これまでは動機づけについて話すときに共通の言語が欠けていたことが挙げられる。理論家は、何百年もこの領域に取り組み、研究を続けてきた。
そして、その研究結果の一部が消費者心理やマーケティングについての会話にとりいれられてきた。しかし、人の活動の背景にある様々な動機のすべてを明らかにし、それぞれを対照・比較でき動機づけの概念を体系的にマーケティング戦略へ反映させるような、説得力のあるボキャブラリーは今のところ存在しない。これに応えるのが本書の目的である。
ここでは、前述のように9つの主要動機づけの章では、実際のケーススタディを使って、現実の場面で動機づけがどう働いているかを説明している。取り上げる消費者ポートレートは、多面的であってもシンプルな実在の人物像を提供し、それぞれの動機づけがどのようにその人の一連の信念と価値観、好みやスタイルになっていくかを具体的に伝えている。
これらのケーススタディとポートレートをマーケター自身の実際の戦略に生かすため、ターゲットを明確にしたマーケティング・メッセージの例も紹介して、メッセージを情報の洪水に埋もれさせることなく、着実に消費者の心に送り届けるために考案したものだという。これらのことを念頭に置きながら、動機づけマーケティグの世界に足を踏み入る。