作ったモノを売るという従来型のプロセスをひっくり返して考える必要がある。つまり、消費者を製造のプロセスの最後に登場する、説得すべき「ターゲット」として捉えるのではなく、情報源やインスピレーションの源として捉え、それを製品に反映させるのである。フォーブス・コンサルタントは、その例として、製薬業界のクライアントを挙げている。
以前の製薬会社は、科学的発見の自然なプロセスとして、科学者が病気に苦しむ人たちための新しい製品を開発していた。そこからはマーケターの仕事になり、その新薬の効果がどんなものであれ、患者たちにその薬の必要性を説き、納得させようとしてきた。その名残が、新薬の効果を試すために「実験台にされた」などという風評に見ることができる。
しかし、現在の状況は異なる。製薬会社とマーケターは、病気や何かの症状に苦しむ人たちの話を聞き、消費者である彼らがライフスタイルの改善のために何をいちばん望んでいるかを理解しようと努める。それがわかってから初めて、科学者たちは消費者が求める新薬の開発への取り組みを始める。もちろん、そうした動きは皆無だったわけではない。
消費者主導の動機づけに基づいたプロセスを選ぶのであれば、消費者と心の深いところで絆を結ぶ努力が必要になる。消費者の願望と不満を理解し、自分達の製品を彼らに見つけてもらうようなメッセージを考案し、その製品が彼らの内にある動機づけを満足させるのにどう役立つのかを具体的に示さなければならない。これまでとは真逆の手法である。
言い換えれば、自分達が設定した目標の方に消費者を誘導しようとするのではなく、消費者の願望、希望、恐れをいちばんに考えた関係にする必要がある。つまり、消費者が作ってほしいと望む製品を作り、その製品の価値を理解してもらえるように、消費者と同じ言葉でメッセージ送らなければならない。そうすれば、いずれその商品を買ってくれる。
なぜなら、消費者はその製品が自分の心のもっとも深いところにある願望の少なくとも一部を満たしてくれると信じるようになるからである。この種の深い共感は、ハーレーダピットソンやMac、バドワイザーの熱狂的なファンに見ることができる。こうした企業のブランド・アイディンティのマーケティングは、忠実なユーザーのアイディンティの一部として捉えられる。