動機づけを理解するには、「意識的動機づけ」と「心理的動機づけ」という2つの意味を区別する必要がある。まず、最初の意識的動機づけだが、これは自分にやる気を起こさせる計画と目標(例えば将来なりたい職業、やりたいこと)があるときに生じる動機づけである。したがって意識的動機づけは、計画、戦略、戦術と言い換えてもいいかもしれない。
そして、もう一つの心理的動機づけは、人の心の奥深くにある、一般的には潜在意識の感情力を意味するものである。私たちの意識的な思考や行動の背景には、常にこうした心理的な動機づけが働き、行動を促し、快適に感じられる行動や選択の方へ向かわせ、不満や恐怖を感じるような行動から遠ざけようとしている根源的で原始的な感情のことである。
また、この感情的動機づけにも2つの形があり、一つは、自分の望むものごとの方へ「引っ張る」動機づけで、私たちは毎日の生活にポジティブな物事を求めていて、その感情的な「願望」のために行動を駆り立てている。こうした願望は、例えば、もっと強くなりたい、もっとやさしくなりたい、もっとうまくなりたいといった「衝動」の形で経験する。
願望の反対にある第二の動機づけは、好まないことから私たちを「引き離す」。例えば、自分を弱々しく感じたくない、孤独を感じたくない、失敗したくないというような生活の中で生じる感情的な「不満」から行動を起こす。この典型的なものは、以前にも触れた、「空腹」とか「喉の渇き」といった生理的不満の解消などもこれに含まれるものと思われる。
要するに、消費者は楽しいことの方に向かおうとするか、痛みから遠ざかろうとするかによって、複雑に絡み合った無意識の感情が、何を手に入れ、使い、所有するか、自分自身をどう感じるか、人からどう見られたいかを変化させる衝動となって行動を起こさせる。このように、願望と不安が消費者の夢と欲望を刺激しているとこを認めなければならない。
そうすれば、この二つの強い感情を満足させることを約束するマーケティング戦略が、消費者の心を掴む確かな方法になる、という結論が出せるというわけである。そのためにも、マーケターは、消費者の心の奥深くにある本当の願望を理解できる言語を学ぶことが重要となる。つまり、消費者の感情を理解する方法を学ぶことが起点となるのである。