(1) 登記手続
吸収合併をしたときは、その効力が生じた日から2週間以内に、その本店の所在地において、消滅会社は解散の登記をし、存続会社は、変更登記をしなければならない(会社法921)。
(2) 事後開示手続
存続会社は、株主や債権者が合併の無効の訴えをするかどうかの判断資料を提供するため、吸収合併の内容を記載した書面等を合併の効力発生日から6ヵ月間、本店に備え置かなければならない(会社法802-3)。
(3) 合併無効の訴え
吸収合併の効力発生日から6ヵ月以内に無効の訴えを起こすことができる(会社法828-1七)。無効の訴えをできる者は、合併する会社の株主等であった者又は存続会社の株主等、破産管財人や吸収合併について承認しなかった債権者等である(会社法828-2七)。合併無効の判決により、合併により割り当てられた株式は無効になり、消滅会社が復活し、合併前に存在していた権利義務はそれぞれの会社に帰属し、合併後生じた債務は、連帯して弁済義務が生じ(会社法843-1)、債権については共有となる(会社法843-2)。これらの負担額及び持分は、当事者の協議によって定められ(会社法843-3)、協議が調わなかった場合には、裁判所が、申立てにより合併時の財産等を斟酌して決定する(会社法834-4)。
(4) 会社合併と事業承継税制
事業承継税制とは、認定を受けた非上場株式を後継者が贈与又は相続、遺贈により取得した場合には、一定の割合に達するまでその非上場の株式の贈与税又は相続税の納税猶予及び免除する制度である(租税特別措置法70の7・70の7の2)。納税猶予の免除がされる前に、猶予期限確定事由が生じた場合には、猶予税額の全部又は一部を納付する必要がある。
1) 承継期間中の合併
会社が、経営相続(贈与)承継期間中に合併により消滅した場合には、原則としてその効力が生じた日から2ヵ月を経過する日が猶予期限となる。例外として、経営承継受贈者(相続人)が、合併承継会社の代表権を有しているなど租税特別措置法施行規則に規定する合併に該当する場合には、納税猶予は継続される(租税特別措置法施行規則23の9-18・23の10-16)。その場合、剰余金の配当として交付される金銭がある場合には、その剰余金の配当に相当する猶予税額については、その効力が生じた日から2ヵ月を経過する日が猶予期限となる(租税特別措置法70の7-4,5・70の7の2-3,4)。
2) 承継期間末日後の合併
会社が、経営相続(贈与)承継期間中に合併により消滅した場合に、吸収合併存続会社の株式以外の財産の交付を受ける場合には、その交付を受けた存続会社等の株式以外の財産の相当額の猶予税額については、その効力の生じた日から2ヵ月を経過する日が猶予期限となる(租税特別措置法70の7-6三・70の7の2-5三)。