(1) 事業譲渡契約の締結
覚書を締結し、取締役会設置会社の場合は、取締役会の承認を経て、事業譲渡契約書を作成する。一般的な契約書には、次のような事項を記載する。
ァ) 譲渡対象となる事業資産・負債
ィ) 事業譲渡の対価
ゥ) 対価の支払方法及び支払時期
ェ) 従業員の処遇
ォ) 譲渡期日
ヵ) 承継資産及び負債の移転時期等
(2) 株主総会の承認
事業の全部譲渡の場合は、譲渡会社及び譲受会社双方において、事業の重要な一部譲渡の場合は譲渡会社において、株主の利害に重要な影響を及ぼすことから、原則として株主総会の特別決議による承認を受けることが必要である。事業の重要な一部の譲渡とは、譲渡の対象資産の簿価が譲渡会社の総資産の5分の1(これを下回る割合を定款で定めている場合はその割合)を超える場合のことである(会社法467-1二)。
なお、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)では、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合の事業譲渡や不公正な取引方法による事業譲渡を禁止している。国内売上高200億円を超える会社が、国内売上高30億円を超える会社の事業の全部又は国内売上高が30億円を超える重要な事業を譲り受ける場合は、事前に公正取引委員会に届けなければならない(独占禁止法16-2)。
(3) 株式買取請求権
事業譲渡が行われる場合には、株主総会の特別決議を要するなど要件は厳格にされているが、会社の財産状態が大きく変動することとなり、反対する株主に対しての保護が必要となる。事業譲渡をする会社は、効力発生の20日前までに、その株主に対して事業譲渡を行う旨の通知しなければならない(会社法469-3)。事業譲渡に反対する株主は、事業譲渡をする会社に対して、自己の所有する株式を公正な価格で買い取るように請求することができる(会社法469-1)。なお、事業譲渡では、債権者保護に関する規定はない。