(1) 株式交換契約の締結
株式交換の基本合意書が調印された後は、契約の締結に向けた準備を行う。取締役会設置会社においては、株式交換契約は重要な業務執行の決定になるので、締結に当たって取締役会の承認を得るのが一般的である(会社法362)。株式交換契約書の記載事項は、① 商号及び住所、② 交換対価に関する事項、③ 交換対価の割当てに関する事項、④ 完全子会社の新株予約権の承継に関する事項、⑤ 新株予約権の割当てに関する事項、⑥ 効力発生日
(2) 事前開示手続き
株式交換に際しては、株主が重大な影響を受けることになるため、株式交換契約の内容その他必要な事項を記載した書類を閲覧できるように備え置く必要がある(会社法782-1・79-1)。
(3) 株主総会の承認
株式交換を行う場合は、株式交換契約書を作成・締結し、通常の株式交換の場合は効力発生日の前日までに定時又は臨時株主総会の特別決議による承認を得なければならない(会社法783-1・795-1)が、簡易株式交換・略式株式交換の場合は株主総会を省略することができる(会社法796-1)。また、株式交換は、M&Aだけでなく、グループ内での組織再編や事業承継対策に利用することができる。
(4) 株式買取請求手続
株式交換をする場合、株式交換に反対する株主は、会社に対し、自己保有の株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法785-1・797-1)。その場合、会社は株式交換の効力発生日の20日前までに、株主に通知する必要がある(会社法785-3、4・797-3、4)。
(5) 債権者保護手続
株式交換の場合は、原則として債権者保護手続きは必要ないが、以下の場合は必要となる。
1) 完全子が社となる会社の債権者に対して
株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合(会社法789)。
2) 完全親会社となる会社の債権者に対して
ァ) 交換対価として完全親会社の株式以外の金銭等を交付する場合(会社法799-1三)
ィ) 新株予約権付社債の承継の場合(会社法799-1三)
ゥ) 株主資本等変動額のその他資本剰余金への計上の場合
債権者に対する手続きが必要な場合は、官報への公告及び知れたる債権者への催告を行うとともに、1ヵ月以上の異議申述期間を設けなければならない(会社法789-2・799-2)。
(6) 簡易株式交換・略式株式交換
ァ) 簡易株式交換
完全親会社が交換の対価として交付する株式の完全親会社の発行済株式総数に対する割合と、完全親会社の株式以外の財産の純資産に対する割合が20%以下となる場合は、株主に対する影響が少ないと考えられるため、原則として完全親会社の株主総会を省略することができる(会社法796-2)。
ィ) 略式交換
90%以上を保有する支配関係のある会社間では、株主総会を開催する必要が薄いため、原則として株主総会を省略することができる(会社法796-1)。