(1) 名義書替え
株主間で株式譲渡の手続きを完了しても、株主名簿の名義を書き換えなければ株主としての地位を主張できない。それゆえ、株式譲渡が完了したら、遅滞なく名義書換えの手続きを行う必要がある。
(2) 所得税の申告・納付
M&Aで株式を譲渡した場合、売買価格が譲渡人におけるその株式の取得価額を超える場合は、その超える部分の金額については所得税が課税される。所得税の申告は、原則、譲渡人が、その株式を譲渡した年の翌年の2月16日から3月15日までに納付しなければならない(所得税法120)。また、所得税の納税は、申告書の提出期限までに納付しなければならない(所得税法128)。
1) 申告書分離課税方式
個人の株式売却益に対する課税は、もともとは源泉分離課税と申告分離課税のいずれかの課税であったが、平成15年以降は申告の分離課税のみとなっている。株式の譲渡をした場合には、その株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、他の所得と区分して、課税(申告分離課税)される(租税特別措置法37の10)。
(所得税の計算)
譲渡所得税=株式等に係る課税譲渡所得等×15.315%(所得税及び復興特別所得税、このほか地方税5%)
2) 上場株式等の譲渡損失の損益通算
上場株式等の譲渡により損失が生じた場合には、他の株式等の譲渡による利益と損益通算する。損失の金額が残る場合には、繰越控除する場合を除いて、残った損失は生じなかったものとみなされ(翌年への繰り越しもできない)、他の所得から控除することはできない(租税特別措置法37の10-1)。また、株式等の譲渡所得以外の所得の計算上生じた損失を、株式等の譲渡所得から控除することもできない(所得税法69-1、租税特別措置法37の10-6四)。
3) 上場株式等の譲渡損失の繰越控除
上場株式等の譲渡をしたことにより生じた損失金額のうち、当年に控除しきれなかった金額を、翌年以降3年間にわたり、株式等の譲渡所得金額から繰越控除できる。また、その翌年の上場株式等に係る譲渡所得金額がある場合又はその年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失(前年以前に控除したものは除く)がある場合には、その譲渡損失はその年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び配当所得から控除できる(租税特別措置法37の12の2-1,2-5)。
なお、平成28年1月1日以後の株式等の譲渡について、株式等に係る譲渡所得等の分離課税については、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得などが別個の分離課税制度とされ、これらの損益通算は不可となったので、注意すべきである。
(3) ポストM&A
M&Aを実行することそのものが最終目的ではなく、その後において、いかに経営統合を円滑に進めていくかが重要である。買手企業と売手企業とが、うまく融合しないことには、M&Aが成功したとはいえない。新体制のもと、役員・従業員等が一致団結し、気持ちよく働けるようにするためには、売手・買手両者の合意ものと、売手企業の旧経営者がM&A実施後においても一定期間顧問等として会社にのこることもある。