株式会社の場合、その設立した年月日を確認し、旧法(旧商法)が適用されている時代の設立であれば、発起人の人数が7名とされていたので、この要件を満たすため、創業者や親族の他に従業員などの第三者の名義を借りて会社設立登記をしている場合がある。もしそうした事実があれば、実質的な株主と株主名簿上の株主が異なるという問題が生じる。
名義株とはこのように、第三者の名義を借りた株式のことを言うが、この名義株式が存在しており、その名義人が死亡し相続が発生した場合、被相続人の相続財産となるため、相続人にとって思いもよらぬ相続税が課税されることもある。また、名義株であることを証明しなければ、名義人の相続人から高額で買い取りをしなければならないこともある。
名義株が存在している場合には、できるだけ早く整理をしておく必要がある。その名義株主が存命である場合は、その株式が名義株である旨の確認書を作成し、名義書換手続をしておかなければならない。名義株主が存命で争いとなった場合は、株式取得の拠出者が分かる書類や配当金の支払い状況などが分かる書類を準備して交渉することが可能である。
すでに死亡している場合には、名義株が元の名義株主の相続人に相続されていることが考えられるので、早急に相続人と話し合い、株式が名義株である旨をよく説明し、争いにならないように手続きを進めなければならない。また、名義株主が所在不明であった場合には、一定の要件を満たせば自社株式として取得することが可能である(会社法197条)。
株主名簿に記載がある株主が名義株主であるかどうかを判断するのは難しい場合がある。そうした場合、まず、名義株が名義を貸した人のものかあるいは名義を借りた人のものかについては、実際に出資金の払い込みを行った者(名義借人)を真の所有者(実質的な所有者)として扱われる(法人税基本通達第1-3-2-1、昭和42年11月17日の最高裁判決)。
名義株主か実質株主かの判断のポイントは以下のようなものである。1)出資状況を証明する資料(銀行口座の通帳・明細書)があるか。2)配当の受け取りについて、誰が受け取っているか。支払調書はどうなっているか。3)株主名簿の名義はどうなっているか。4)個人の確定申告の状況はどうか。5)株主総会の通知の受け取り人は誰か。6)株主総会の出席は誰がしたか。7)名義株主の出資時の贈与税申告の状況はどうか。8)名義株主から買い取り請求はされているか。9)出資をせずに株主になっているとの認識があるか。10)覚書・念書などを、名義を借りた際に作成しているか。