財務状況を一通り把握したら、今度は(1)キャッシュ・フロー計算書を作成し、資金繰りの状況を確認する。(2)借入金の現在残高の把握、返済状況を確認する。(3)連帯保証、抵当権の確認(会社が第三者の連帯保証債務を有していないか、抵当権のある物件)などを確認することで、事業承継後の財政状況にどの程度影響を及ぼすか分析しておく必要がある。
(1)キャッシュ・フロー計算書の作成:キャッシュ・フロー計算書の構造は、1)営業活動によるキャッシュ・フロー(収入や仕入れなどの区分)、2)投資活動によるキャッシュ・フロー(固定資産や有価証券の取得・売却により獲得した現金)、3)財務活動によるキャッシュ・フロー(借入金などの資金調達や返済による現金の動きの把握)に分け、資金繰り状況について調べる。
(2)借入金の返済状況の確認:設備投資などによる長期資金は、メインバンクなどのからの借入金で賄われているか、経営者本人の資金やその親族からの借り入れに頼っていないか、などを詳細に分析しなければ、事業を承継した後に、返済を迫られたり、担保の追加を迫られたりする危険性がないか、大所高所から借入金の返済状況を分析・確認しておく。
(3)連帯保証、抵当権の確認:中小企業などの場合は、金融機関から借り入れをする場合、その会社の経営者が連帯保証人となっているケースが多い。また、場合によっては担保提供や親族などの保証を求められている場合も多い。こうした場合、事業承継者が経営者の親族である場合には、保証人を引き続いて引き受けてくれる場合もあるように思われる。
しかし、従業員などの第三者が後継者となる場合は、抵抗を感じて保証を拒否する場合も考えられる。この場合は、別の第三者を保証人に依頼しなければならないが、金融機関がそれに対して難色を示す場合もある。会社に十分な財力や返済能力がある場合を除いて、この点がネックになり、事業継承が円滑に行えないケースは結構多いことも事実である。
また、経営者が個人の不動産を担保提供している場合は、事業承継後も担保を継続して提供し続けなければならない場合もあり、この場合は、実質的な経営権を前経営者が握っているという状況になるなど、折角の事業承継の意味が非常に薄いものになってしまう。こうした事態を避けるために、事前に金融機関や役員候補とも十分に話し合う必要がある