また、よく言われる黒字倒産のように、決算書上は利益が出ているのに、手元資金が不足してしまい倒産に追い込まれる場合もある。この原因は、過剰な在庫、売掛金の焦げつき、貸借対照表上では、資産として計上され、損益計算書上では、売上原価が圧縮されるため、利益が計上されるが、資金繰りの面からいうとマイナスになり倒産に追い込まれる。
上記のように、決算書上の数値から一目瞭然に会社の体力を把握できるものもあるが、さらに、資産や負債の中身を精査してみなければ、実態がつかめないことも多い。まず、資産の部は、1)売掛金、受取手形、2)商品在庫、3)動産、不動産、有価証券、4)差入保証金、保険積立金、負債の部では、5)買掛金、未払費用、6)借入金等を分析する必要がある。
1)売掛金、受取手形:売上の回収速度や回収可能性(不良債権はないか?)、受取手形は振り出し先の財務状況(不渡りになる危険性)の検討。2)在庫商品:長年在庫として残っている商品がデッドストック化されていないか、現時点でどれだけの換金価値があるか。
3)動産・不動産・有価証券:建物などの償却資産は毎年100%減価償却を行っているか、簿価に対して現在価値はどれくらいかも把握する必要がある。4)差入保証金、保険積立金等:解約時などに償却されてしまう金額はないか、解約時にどれくらいの金額が戻ってくるのか、保険金積立金については、保険会社に確認しておく必要がある。
負債の部では、1)買掛金、未払費用、2)借入金などについての分析が必要である。1)買掛金、未払費用:本来計上すべき支払金額が漏れていないかの確認が必要である。2)借入金:自社の借入金ばかりではなく、連帯保証債務が存在しないか、経営者や親族からの借入金があるかどうかは必須の確認事項である。その他、実質的な財務状況の把握が必要。
事業承継を考える場合、上記のように、現在の損益状況並びに財務状況を実態的に把握しておくことが先決であるが、事業を承継した後継者が、今後どのように会社を運営して行くのかという将来の分析も大事である。この分析には、会社の技術力、ノウハウ、マーケティグ力、これらを担う人材(従業員)、顧客層などについても分析する必要がある。