会社の沿革には、歴代の経営者の経営理念や手腕が投影されているわけであるから、利益の蓄積とも関係しているはずである。さらに、創業時期、幹部社員、企業文化、従業員の定着率、技術力、ノウハウなどについてしも調査し、現状に至った経緯を把握する。この調査は、財務諸表や社内報を始めとする諸資料と聞き取りを併用して行うことになる。
会社の沿革を把握すると、次は会社の関係者とその株主構成を把握しなければならない。それには、株主名簿を提示してもらい、株主とその出資額、出資比率をまず確認し、連結会社・子会社であるかどうかも見極める。それは、後継者が会社を引き継いだ後も資本関係ばかりではなく、良好な人的関係が維持できるかどうかという問題が潜んでいるからだ。
株主の構成については、別の問題もあり得る。中小企業などでは、経営者とその親族が株主である場合が多いが、中には第三者を含む構成となっている場合もある。後継者や経営者が自社の株式をあまり保有していない場合には、第三者の発言権が強く、そのまま事業を引き継ぐと混乱を招く虞がある。こうした場合は株式の買い取りが大きな問題となる。
中小企業と一口に言っても、その規模は様々で、経営者の親族だけで事業を行っているという小規模な経営もあれば、100人雇用している会社もあり、それぞれ事業承継対策が異なったものになる。例えば、60歳以上65歳未満の高年者ばかりを雇用することで特定求職者雇用開発助成金を受けている会社の場合は、今後の事業展開に対する展望が問題となる。
さらに、事業承継税制(租税特別措置法)「自社株式の3分の2に係る80%の相続税の納税猶予(平成30年の改定で100%になる見込み)」の適用受けようとする場合は、雇用者の8割を相続開始後5年間継続して雇用しなければならないという要件を満たさなければならない。こうした理由もあり、対象となる会社の従業員の人数と年齢を正確に把握しておくことが事業承継上、必要不可欠である。