事業継承とは、自分が経営する事業から引退し、後継者に引き渡すことであるから、個人事業主の場合は、有形の事業資産、取引先、事業ノウハウなどの無形の財産すべてを一体的に継承させる事である。他方、株式会社などの法人場合は、株式の全部またはかなりの部分を譲渡することになる。いずれの場合も、相続税または贈与税がかかることになる。
相続税や贈与税の問題もさることながら、後継者がいない場合もあり得る。中小企業の場合、かつては子供など親族が後継者となる場合が圧倒的に多かった。昭和の終わりごろは、70%近くの企業が親族を後継者としていたが、平成10年頃には50%近くに落ち込んでいる。代わって増加しつつあるのが、企業内人材など内部昇格や外部からの招聘である。
こうした傾向は、少子化も影響しているかもしれないが、職業の多様化や価値観の変化によるところも大きいと思われる。こうした場合、まず、従業員を内部昇格させて後継者にすることが次の選択肢となるが、近年はそれとても難しく、外部から招聘せざるを得ないケースや、後継者が見つからず、やむなく引退と同時に廃業せざるを得ない場合もある。
こうした後継者難をサポートするため、国や商工会議所などによる支援施策が講じられている。国(中小企業基盤整備機構)による支援は、後継者問題に悩む中小企業のために、「事業引継ぎ窓口」を全都道府県に設置している。また、特に事業引継ぎの需要が多い全国20カ所に「事業引継ぎ支援センター」が設置され、専門家による支援が行われている。
各都道府県・市町村の多くの商工会議所でも事業承継の支援を行っている。具体的な内容としては、後継者を探している企業と起業を志している人とのマッチングや、事業譲渡をしたい企業と事業を譲り受けたい企業とのマッチングを行っている。しかし、事業承継をめぐるリスクは裾野が広く、かつ、奥深いものがあり、事前の準備が必要不可欠である。