「わずか4点しか残っていないので注文を急いで」と訴えかけているわけだ。その希少性在庫効果に加え、1-click注文と送料無料サービスというパワフルなツールで、訪問者に「ショッピングカートに入れる」をクリックさせる。また、旅行も、迷うことの多い分野だ。フライトを選ぶにも、日にち、時間、空港、乗継ぎ、乗換え地と、いろいろな条件を選択しなくてはならない。
価格と利便性の完璧な組み合わせを求め、複数の旅行サイトのウィンドウを開いて比較する人も多いだろう。こうやってグズグズする人々の迷いを断ち切る方法はあるだろうか。「空席わずかなので予約を急がないと間に合わなくなります」と言ってやればいいのだ。エクスペティアは「この料金のチケットは残りわずか1枚!」と効果的に注意を促しており、その一言が効いて予約したことが何度もある人は多いのではないか。
希少性の利用法で最も感心させられるのは、「オーバーストック・ドットコム」のやり方だ。最初は、在庫が残りわずかであることを普通に表示する。あと何個とは書かれておらず「売り切れ」けいこく「売れ切れリスク高!」の警告を出す。ここまでならたいしたことはないが、オーバーストックは、検索結果ページに「売れ切れ間近」の表示を出すのだ。たくさんの商品が表示されているページでは、閲覧者の注意がそのアイテムに集まることは間違いない。
そういうやり方にはリスクを伴うという人もいる。顧客に、よさそうだけれども売り切れている商品を見せたら、よそを探そうとするのではないかというわけだ。しかしながら、「売り切れ」表示は、本当に売り切れるのだということを示し、ほかの「売り切れ間近」警告がウソでないことを証明する役割を果たしている。それが早く買わなければという気持ちを高めるのだ。
激増した、グルーポンなどの日替わり特売サイトもある意味では希少性を利用したものだ。ここでのオファーは、短期限定(通常24時間)のうえ、数量も限定されているというダブル効果で、消費者に急いで行動することを促している。アパレル小売業のルーララコムなども時間限定と数量限定効果で顧客が持つ「早く注文せねば」という気持ちを高める。
信頼性を維持しながら希少性をアピールするベストの方法は、具体的な情報を出すことだ。技術的に可能ならば、訪問客に残りの在庫数量を知らせよう。「この価格でのご提供はあと2個」と言った方が、ただ「数量限定」とするよりもはるかにいい。在庫数量の変動が激しいビジネスなら、希少性を大胆に表示するとよい。最も効果的なのは「今1つ売れました!残りあと1個」というようなメッセージではないかと思う。